中浦水門

中浦水門の歴史と役割

中浦水門（なかうらすいもん）は、かつて島根県旧八束郡八束町の江島（現在の松江市）と鳥取県境港市にまたがって設置され、中海と境水道を仕切る役割を担っていました。この水門は、商船三井海事中浦事務所がその運用を行い、1974年に約90億円の費用をかけて完成しました。しかし、2002年に中海・宍道湖の淡水化事業が中止されたことを受け、2005年から撤去工事が開始され、2009年にその工事が完了しました。

水門の概要

中浦水門は総延長414メートルで、二段式のローラーゲートを具備しており、10門の扉体を操作することができました。また、中央部に3門の閘門が設置され、閘門の幅は中央が20メートル、西側が14メートル、東側が12メートルでした。水門の上部には道路橋が設けられ、江島と境港を結ぶ交通路として機能していました。さらに、閘門の上部には跳ね橋の機能もあり、船舶の通過時に頭上の橋が跳ね上がることで舟運も支えていました。

建設の目的と利用

中浦水門は「昭和の国引き」とも称され、農地約2230ヘクタールを造成し、周辺の農業用水を確保するために中海を淡水化する国営中海土地改良事業に関連して建設されました。この水門は、境水道からの海水の遡上を防ぎ、中海及び宍道湖の水を淡水化する目的がありました。また、道路橋としての機能により、当初は一日約14000台の車両が越境することで江島と境港間の交通が円滑に行われていました。しかし、閘門が跳ね橋として設計されていたため、船舶通過時には7～8分の通行制限があり、大型車両の通行も制限されていました。

水門の撤去

中浦水門は当初の淡水化を目的として建設されたものの、1988年にこの計画が延長され、2000年8月には大規模干拓事業も中止されました。さらに、2002年には淡水化事業そのものが中止となり、水門はその機能を失うこととなりました。2004年には交通問題を解消するため、江島大橋が北側に開通し、水門の橋としての役割も終えました。水質改善のためにその運用を提案する声もあったものの、年間数億円に及ぶ管理費が掛かることから、最終的には撤去が決定されました。

撤去工事は2005年10月頃から始まり、2009年3月に完了します。その際、商船三井海事中浦事務所の業務終了式も行われました。撤去にかかる費用は、その他の関連施設を含め約94億円に上るとされています。このように、中浦水門は一時期重要な役割を果たしていたものの、時代の変遷によりその役割を終えることとなりました。

関連項目

• - 江島大橋

このように、中浦水門は歴史的な意義を持ちながらも、運用の必要性が薄れることで撤去された重要なインフラの一つであったと言えます。

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