中濁線

中濁線：台湾中部の歴史を刻んだ軽便鉄道

中濁線は、台湾中部の台中市から南投市にかけて、かつて存在した軽便鉄道です。その歴史は、サトウキビ輸送を目的とした二つの路線、帝国製糖の「中南線」と明治製糖の「濁水線」が戦後に統合されたことに始まります。

成立と背景

中南線：帝国製糖が運営し、台中糖廠から南投市を結んでいました。1916年に開業し、当初はサトウキビ輸送が主な目的でしたが、後に旅客輸送も開始しました。
濁水線：明治製糖が運営し、名間から北上して南投市に至る路線でした。この路線は、中南線よりも後に建設され、同様にサトウキビ輸送を担っていました。

戦後、これらの路線は台湾糖業鉄道の路線として一本化され、「中濁線」となりました。中濁線は、南北平行予備線の一部を構成し、地域の重要な交通手段としての役割も果たしました。

路線と運行

中濁線の総営業距離は39.2kmで、軌間は762mmの狭軌でした。台中から南投間の中南線区間が30km、南投から濁水間の濁水線区間が9.2kmでした。

駅数：全線で28駅（起終点駅含む）があり、中南線区間に20駅、濁水線区間に8駅が設置されていました。
線路：全線単線で、複線区間や電化区間はありませんでした。
支線：桐林支線と霧峰工業区支線の2つの支線がありました。

沿革

中濁線の歴史は、二つの路線の成立から廃止まで、以下の変遷をたどりました。

1911年：中央製糖中央線の一部が開業。
1914年：彰南鉄道の路線が開業。
1916年：帝国製糖中南線が開業、旅客営業開始。
1917年：帝国製糖中南線の一部駅の廃止・開業。
1918年：帝国製糖中南線が全線開業。
1920年：明治製糖濁水線の駅名改称。
1933年：明治製糖濁水線が延伸開業。
1941年：中南線が合併により大日本製糖の経営となる。
1945年：中南線と濁水線が台湾糖業鉄道中濁線として統合。
1951年：南北平行予備線の北側起点駅となる。
1957年：省府前駅が開業。
1959年：台風被害により旅客営業休止。南北平行予備線の起点が二水に変更。
1961年：全線廃止。

廃止とその後の動き

中濁線は、1959年の台風被害により旅客営業が休止され、モータリゼーションの発達により貨物輸送も衰退し、1961年に廃止されました。しかし、その歴史は忘れられることなく、近年では都市鉄道計画の中で、中濁線を復活させる構想が複数回浮上しています。2014年には橘線の南投延伸線として、2018年には藍線の延伸線として提案されました。

駅一覧

廃止当時の駅一覧は以下の通りです。

[駅一覧表（作成例）]

関連項目

大日本明治製糖
南北平行予備線

外部リンク

* 帝國製糖中南線 台中愛吃糖Facebook

中濁線は、台湾の鉄道史における重要な一部であり、その存在は、地域の発展に大きく貢献しました。

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