中田康子

中田 康子（なかた やすこ）

1933年（昭和8年）2月18日生まれの日本の元女優。長野県松本市出身。宝塚歌劇団および日劇ダンシングチーム（NDT）という華やかな舞台の世界からキャリアをスタートさせ、その後、数々の日本映画で印象的な演技を見せた。

生涯とキャリアの始まり

中田康子は、1933年に長野県松本市で生を受けた。松本高等家政女学校で学んだ後、1950年に宝塚音楽学校へ入学する。翌1951年、宝塚歌劇団に38期生として入団。入団時の成績は16番だった。宝塚時代は「由狩しのぶ（ゆかり しのぶ）」という芸名で活動し、この芸名はご両親によって名付けられたという。愛称は「マーミー」または「マミー」と呼ばれ親しまれた。初舞台は星組公演『昔噺舌切雀』と『春のおどり』。1952年には花組に配属され、主に娘役として活動した。

1953年2月28日をもって宝塚歌劇団を退団。最終出演となったのは花組公演『白蓮記』だった。宝塚退団後、彼女は舞台活動の場を日劇ダンシングチーム（NDT）へと移した。

女優としての活動

1955年、日劇を離れた中田は、NHKのバラエティ番組やテレビドラマに出演するようになる。そして1956年、著名な映画監督である成瀬巳喜男からの誘いを受け、東宝と専属契約を結ぶ。東宝時代には、多くの映画で脇役や端役として出演し、物語に深みを与える存在として着実にキャリアを重ねた。この時期の代表的な出演作としては、『空の大怪獣 ラドン』（1956年）での若い女性役や、『サザエさん』シリーズなどがある。

1958年、東南アジア映画祭の場で大映の永田雅一社長と出会う。この出会いは中田のその後の芸能活動、さらにはプライベートにも大きな影響を与えることとなる。1959年には大映へ移籍し、東宝時代と同様に数多くの作品に出演した。時代劇から現代劇まで幅広いジャンルの映画でその才能を発揮した。

女優キャリアのハイライトの一つとして挙げられるのが、1964年のミュージカル映画『アスファルト・ガール』である。この作品で彼女は歌い踊る主役を演じ、これまでの脇役・端役とは異なる一面を見せ、その多彩な才能を証明した。

しかし、1964年、永田氏との関係に終止符を打つことを決意。これを機に大映を退社し、女優業からも身を引く形で、芸能界の表舞台から姿を消した。

女優引退後の人生

女優業を引退した後、中田康子は新たな道を歩み始める。1971年には故郷である長野県松本市に戻り、国立病院に勤務する。ここで出会った医師と結婚し、一男をもうけるが、家庭の事情から離婚に至る。その後は愛息を引き取り、女手一つで育て上げた。

子育てと並行して、彼女は自身の経験と情熱を生かすべく、1973年に長野県内でジャズダンススタジオを開設する。ダンス指導者として新たなキャリアを築き、地域の人々にダンスの楽しさを伝えた。1989年には活動拠点を静岡県熱海市に移し、現在に至るまでダンススタジオでの指導を続けている。波乱に富んだ芸能人生から一転、ダンス指導者として地域に根ざした活動を続けている。

主な出演映画

以下に、中田康子が出演した主な映画作品をリストアップする。

のり平の三等亭主（1956年、東宝）
不良少年（1956年、東宝）
鬼火（1956年、東宝）
はりきり社長（1956年、東宝）
新婚第一課（1956年、東宝）
恐怖の逃亡（1956年、東宝）
力道山 男の魂（1956年、東宝）
へそくり社員とワンマン社長へそくり社員敢闘す（1956年、東宝）
へそくり社員とワンマン社長ワンマン社長純情す（1956年、東宝）
おかしな奴（1956年、東宝）
天上大風（1956年、東宝）
おしどりの間（1956年、東宝）
空の大怪獣 ラドン（1956年、東宝） - 若い女（アベックの女）
歌う不夜城（1957年、東宝）
続御用聞き物語（1957年、東宝）
次郎長意外伝 灰神楽の三太郎（1957年、東宝）
次郎長意外伝 大暴れ三太郎笠（1957年、東宝）
次郎長意外伝 大暴れ次郎長一家（1957年、東宝）
眠狂四郎無頼控 第二話 円月殺法（1957年、東宝）
続・サザエさん（1957年、東宝）
サザエさんの青春（1957年、東宝）
東京だョおッ母さん（1957年、東宝）
雪国（1957年、東宝）
憎いもの（1957年、東宝）
忘却の花びら 完結篇（1957年、東宝）
続大番 風雲篇（1957年、東宝）
生きている小平次（1957年、東宝）
夕凪（1957年、東宝）
一本刀土俵入（1957年、東宝）
続サラリーマン出世太閤記（1957年、東宝）
遥かなる男（1957年、東宝）
次郎長意外伝 灰神楽木曽の火祭（1958年、東宝）
眠狂四郎無頼控 魔剣地獄（1958年、東宝）
社長三代記（1958年、東宝）
家内安全（1958年、東宝）
東京の休日（1958年、東宝）
弥次喜多道中記（1958年、東宝）
太鼓たゝいて笛吹いて（1958年、東宝）
ちゃっきり金太（1958年、東宝）
続ちゃっきり金太（1958年、東宝）
奴が殺人者だ（1958年、東宝）
ドジを踏むな（1958年、東宝）
女探偵物語 女性SOS（1958年、東宝）
フランキーの僕は三人前（1958年、東宝）
裸の大将（1958年、東宝）
大江戸千両祭（1958年、東宝）
大番 完結篇（1958年、東宝）
手錠をかけろ（1959年、東宝）
孫悟空（1959年、東宝） - アラクネ
暴れん坊森の石松（1959年、東宝）
爆笑水戸黄門漫遊記（1959年、東宝）
サラリーマン御意見帖 男の一大事（1960年、東宝）
第六の容疑者（1960年、東宝）
山田長政 王者の剣（1959年、大映京都）
四谷怪談（1959年、大映京都）
歌麿をめぐる五人の女（1959年、大映京都）
関の弥太っぺ（1959年、大映京都）
よさこい三度笠（1960年、大映京都）
怪談累が淵（1960年、大映京都）
元禄女大名（1960年、大映京都）
花くらべ狸道中（1961年、大映京都）
飛び出した女大名（1961年、大映京都）
怪談蚊喰鳥（1961年、大映）
悪名（1961年、大映）
新源氏物語（1961年、大映京都）
熱い砂（1960年、大映東京）
顔（1960年、大映東京）
薔薇と竜（1961年、大映東京）
お嬢さん（1961年、大映東京）
献身（1961年、大映東京）
家庭の事情（1962年、大映東京）
化身（1962年、大映東京）
誘拐（1962年、大映東京）
熱砂の月（1962年、大映東京）
男と女の世の中（1962年、大映東京）
定年退職（1963年、大映東京）
嘘（1963年、大映東京）
赤い水（1963年、大映東京）
視界ゼロの脱出（1963年、大映東京）
黒の駐車場（1963年、大映）
* アスファルト・ガール（1964年、大映）

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