中田正朔

中田正朔（なかた まさもと）は、1840年に伊勢国宇治（現在の三重県伊勢市）で生まれた神職です。幼少の頃より学問に励み、漢学を鷹羽竜年、書を養徳寺雪鷗、国学を八羽光穂にそれぞれ師事し、幅広い知識と教養を身につけました。特に和歌と書道に秀でており、その才能は広く知られていました。

明治維新後の1872年（明治5年）には、宇治山田神社の祠掌に任じられ、神職としてのキャリアをスタートさせました。その後、宮崎郷学校の幹事、度会県の権少属などを歴任し、1876年には神宮主典に就任。着実に昇進を重ね、禰宜に進みました。さらに、造神宮頭という要職も務め、神宮の運営に深く関与しました。

1887年（明治20年）4月からは、神宮皇學館（現在の皇學館大学の前身）の館長を兼務しました。1890年8月まで館長を務め、後進の育成に尽力しました。1893年（明治26年）には、兵庫県の廣田神社の宮司に転任し、その後、大阪府堺市にある大鳥神社の宮司も務めました。1903年（明治36年）に退職するまでの間、各地の神社で神職としての職務を全うしました。

中田正朔の功績として特筆されるのは、神宮奉職中に尽力した神宮司庁と神宮教院の分離問題です。当時、神宮の組織運営において課題となっていたこの問題の解決に大きく貢献しました。彼の努力が実を結び、神宮の組織改革が実現し、その後の発展に繋がりました。

中田正朔は、学問と芸術に秀でた人物であると同時に、神職として神宮の発展に貢献した人物として、その名が記録されています。

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