中臣鷹主

中臣 鷹主について

中臣鷹主（なかとみ の たかぬし）は奈良時代に活動した貴族で、中臣氏の一員です。彼の父は神祇伯である中臣名代で、官位としては正五位下や縫殿頭を歴任しました。鷹主の生涯は、遣唐使としての任務を中心に展開する多彩な官歴を持っています。

経歴の始まり

天平宝字5年（761年）、鷹主は第14次遣唐使の遣唐判官に任命され、大使には仲石伴が選ばれました。この遣唐使のプロジェクトには大きな期待が寄せられており、鷹主は重要な役割を担うことになったのです。しかし、翌年の天平宝字6年には、遣唐使船が安芸国から出航するも、難波江口に到着後に船が難破してしまうという予期せぬ事態が発生しました。この影響で派遣の計画は縮小され、仲石伴の代わりに鷹主が大使として任命されることになります。

渡航の試みと官位の変遷

鷹主は同年の夏に唐へ向けての渡航を試みましたが、風の影響を受けて失敗し、最終的には派遣が中止となりました。続く天平宝字7年には肥前守、さらに天平宝字8年には武部少輔を歴任しますが、いずれも政治的混乱により官位を剥奪されてしまう運命に見舞われます。

光仁朝とその後の活躍

光仁朝に入ると、宝亀4年（773年）に罪を赦されて再び従五位下に戻り、その後の動向は不明ですが、天応元年（781年）には桓武天皇の即位を受けて大判事に任命されます。この時期、中臣鷹主は活躍を再開し、天応2年（782年）には鋳銭長官を経て、延暦2年（783年）に従五位上・神祇大副に叙任されました。

延暦4年（785年）には信濃守として地方政務に従事、さらに延暦10年（791年）には再び神祇大副に任命され、官歴は上昇し続けました。最終的には正五位下や縫殿頭といった高い地位に至ります。

家系と後世への影響

中臣鷹主の家族については詳細が不明ですが、彼には大中臣弟枚（または弟投）という養子がありました。中臣氏はその後も多くの重要な役職を占め、奈良時代から平安時代へと続く日本の貴族社会において重要な役割を果たしました。彼の経歴は、政治と文化の交流を示す一例として、後世の研究においても注目されています。彼の業績は、日本史における遣唐使の大きな歩みに寄与したことから、特に評価されています。

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