天平宝字

天平宝字（てんぴょうほうじ）

天平宝字は、日本の元号の一つで、天平勝宝の後、天平神護の前の期間を指し、757年から765年までの約8年間に亘ります。この時期の天皇としては、孝謙天皇、淳仁天皇、及び重祚した称徳天皇が登場しました。

改元の背景

天平宝字元年（757年）に改元が行われたのは、特に農業に関する吉兆が現れたことに起因しています。それは、蚕が「五月八日開下帝釋標知天皇命百年息」という文字を形成したことから、天皇の命によって改元が決定されたとされています。このような自然からの兆しは、当時の人々にとって重要な指標であり、政権の正当性を示す一助となりました。

改元の詳細

• - 天平宝字元年（757年）8月18日（ユリウス暦757年9月6日）
• - 天平宝字9年（765年）1月7日（ユリウス暦765年2月1日）に天平神護に改元

主要な出来事

この期間には、多くの重要な出来事が発生しました。

• - 元年（757年）: 能登、阿波、和泉の再分立が行われ、藤原仲麻呂が紫微内相に任命されました。また、養老令の施行や、彼に対する陰謀が発覚し、多数の人々が処刑されるという事件も発生しました。右大臣藤原豊成は大宰府に左遷され、防人の兵士の充当を削減する政策も取られました。

• - 2年（758年）: 孝謙天皇が大炊王に譲位し、淳仁天皇が即位しました。

• - 3年（759年）: 大伴家持による『万葉集』の編纂が行われました。これは、日本文学における重要な出来事であり、後世に多大な影響を与えました。

• - 4年（760年）: 新たに鋳造された銭貨として、万年通宝、銀銭大平元宝、金銭開基勝宝が登場しました。これにより、経済基盤の強化が図られました。

• - 7年（763年）: 台湾との交流があった鑑真が死去しました。彼の影響は、宗教と文化の発展に大きく寄与していました。

• - 8年（764年）: 儀鳳暦から大衍暦への改暦が行われ、9月には藤原仲麻呂の乱、通称恵美押勝の乱が勃発し、政権に激震が走ります。

• - 10月9日: 孝謙上皇が淳仁天皇を廃位させて淡路に流し、自ら再度権力を握る形で称徳天皇として即位し、再び国政を動かしました。

結論

天平宝字という元号は、政治、文化、経済の多岐にわたる発展が見られた時代を象徴しています。この時期の出来事は、後の日本の歴史に多大な影響を与える重要な要素となっています。日本の元号の中でも特に、天皇の替わりや大事件が絡むことで、歴史的な文脈の中で重要視され続けています。

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