中華人民共和国旅券

中華人民共和国旅券について

中華人民共和国旅券（パスポート）は、中国国民が国際的な旅行をする際に必要となる重要な身分証明書です。2024年現在、中国のパスポートを所持する国民は、世界中の88の国と地域へビザなし、または到着時のビザ取得で入国することが可能です。これは世界的に見て63番目の順位に相当します。

パスポートの種類

中国で発行されるパスポートは、2007年に施行された中華人民共和国旅券法に基づき、以下の3種類に分けられます。

1. 普通旅券（普通护照）:
このパスポートは、観光、留学、就労、親族訪問など、非公式な目的で海外へ渡航する際に発行されます。
発行は公安部出入国管理局、在外公館、または外務省が許可した在外公館で行われます。

2. 外交官用パスポート（外交护照）:
外交官、領事、その配偶者や未成年の子供、外交官のクーリエに発行されます。
発行は外交部（MFA）が行います。

3. サービスパスポート（公务护照）:
中国政府から派遣され、在外公館や国際機関で働く職員とその家族に発行されます。
発行はMFA、在外公館、またはMFAが許可した地方政府の外事局が行います。

サービスパスポートには、さらに「公務用パスポート（公务普通护照）」という特別なバリエーションが存在します。これは、県や国有企業の幹部職員向けに発行されるパスポートです。

同法第9条では、外交パスポートとサービスパスポートの発行範囲、発行措置、有効期間について、外務省が定めるとしています。普通旅券は「私事用」、外交旅券と公用旅券は「公事用」と分類されます。

特別行政区のパスポート

香港とマカオの特別行政区では、それぞれの政府が独自のパスポートを発行・管理しているため、この法律の適用外となっています。

生体認証パスポートの導入

2011年7月、中国政府は生体認証機能付きのパスポート（外交、サービス、公務用）の発行を開始しました。現在、一般パスポートにも生体認証が導入されています。

パスポートのフォーマット

現在の中国のパスポートは生体認証（バイオメトリック）を採用しており、以前の「様式97-2」から変更されました。ただし、一部地域では現在も旧式のパスポートが発行されている場合があります。現行のパスポートは48ページで構成されています。

身分事項ページ

バイオメトリック・パスポートのシンボルマークがホログラム印刷されています。
名前の表記は、旧式では姓と名が2段に分かれていましたが、現行ではフルネームが1段で表示されます。
裏表紙の裏側には、個人情報を保存する電子チップが内蔵されています。

身分事項ページの記載項目

パスポートコード（P）
国コード（CHN）
パスポート番号（E########）：パスポートの種類を示すアルファベット（E=e-passport）と8桁の数字。
2017年4月時点で番号を使い切ったため、2桁目を数字からアルファベット（I、Oを除く）に変更しました。
新しいパスポート番号はEA0000001から始まりました。
名前（漢字とピンイン表記、姓と名はピンイン表記でコンマ区切り）
性別（男/女）
国籍（中国）
生年月日（日.月.年）
出生地（省はローマ字表記、海外の場合は国コードと中国語表記）
写真（サイズ：横33mm、縦48mm、頭頂部まで31.5mm、上部から髪まで5mm）
発行年月日（日.月.年）
発行場所（都道府県、海外の場合は在外公館の都市）
有効期限（日.月.年、月はアラビア数字）
権限（中華人民共和国国家移民管理局の名称、または在外公館の名称）
2019年3月以前の中国本土発行は「公安部出入境管理局」も可
持参者の署名
機械読取コード
要請文（中国語、英語、日本語翻訳が記載）

関連情報

関連項目: 中華民国旅券、朝鮮民主主義人民共和国旅券、大韓民国旅券、日本国旅券、ロシア連邦旅券
外部リンク: 中国領事服務網、国家移民管理局

この情報が、中華人民共和国のパスポートについての理解を深める一助となれば幸いです。

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