中西真

中西 真（なかにし まこと）氏は、1960年12月20日生まれの日本の生化学者です。細胞の基本的な生命現象、特に細胞の増殖や老化、そして癌化のメカニズムを分子レベルで探求する分子腫瘍学を専門としています。現在は、日本の医学研究における主要な拠点の一つである東京大学医科学研究所の所長および教授を務めています。さらに、近年設立された東京大学新世代感染症センターのメンバーとして、新たな感染症への対応研究にも貢献しています。

愛知県で生を受けた中西氏は、地元名古屋の名古屋市立大学医学部医学科で学び、1985年に医師としての基礎を築きました。卒業後、同大学の大学院医学研究科に進み、より深く生命科学の研究に没頭。1989年には博士課程を修了し、医学博士の学位を取得しました。学位取得後、自治医科大学医学部生化学講座に奉職し、助手として研究キャリアを本格的にスタート。1992年には同講座の講師へと昇任しました。

研究者としての知見を広げるため、1993年から1995年にかけては、米国テキサス州にあるベイラー医科大学分子ウイルス部門にてリサーチアソシエートとして海外での研究経験を積みました。帰国後、1996年には国立長寿医療研究センターにて初期研究員として活動。その後、1998年には母校である名古屋市立大学に戻り、医学部生化学第二講座の助教授に就任しました。そして、2000年には同講座の教授へと昇格し、自身の研究室を率いる立場となりました。2002年からは、大学院医学研究科の基礎医科学講座 細胞生化学分野の教授として、高度な研究と教育を推進しました。

名古屋市立大学では研究・教育に加え、大学運営においても重要な役割を担いました。2011年には大学院医学研究科の副研究科長、2012年には大学全体の学長補佐を務めるなど、管理運営能力も発揮しました。

2016年、活躍の舞台を東京大学に移しました。東京大学医科学研究所の教授に着任し、癌・細胞増殖分野の癌防御シグナル分野における研究を推進。細胞周期制御や細胞老化のメカニズムに関する研究で、国際的に高い評価を得ています。2019年には同研究所の副所長に就任し、研究所全体の運営に深く携わりました。そして2023年、日本の医学研究を牽引する重責である東京大学医科学研究所の所長に就任しました。また、2022年からは、将来的な感染症パンデミックに備えるための東京大学新世代感染症センターのメンバーとしても活動しており、幅広い医学分野で貢献しています。

中西氏の主要な研究対象は、細胞がどのように分裂し、成長し、老化し、そして癌化するのかという生命の根幹に関わる問いです。特に、細胞周期を厳密に制御する分子メカニズムや、テロメアという染色体末端の構造が生体老化や癌にどのように関わるのかについての研究は、この分野における世界的な貢献として知られています。これらの基礎的な発見は、癌をはじめとする疾患の診断や新たな治療法開発への重要な道標となっています。

長年にわたる優れた研究業績とその社会への貢献に対し、中西氏には以下の顕彰が贈られています。

• - 2000年 日本生化学会奨励賞
• - 2023年 文部科学大臣表彰科学技術賞
• - 2024年 持田記念学術賞

また、ご自身の専門分野に関する知識を一般読者にも分かりやすく解説した著作も出版しています。

• - 『老化は治療できる！』宝島社新書 2021年

中西真氏は、生化学者として細胞レベルでの生命現象の解明に尽力し、特に分子腫瘍学分野において顕著な成果を上げてきました。現在は東京大学医科学研究所のリーダーとして、日本の医学研究のさらなる発展に貢献しています。

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