中通 (秋田市)

中通地区：秋田市の中心で歴史と現代が交差する街

秋田市中心部に位置する中通地区は、中通一丁目から中通七丁目までの7つの町丁で構成されるエリアです。郵便番号は010-0001で、住居表示は既に実施されています。JR奥羽本線と羽越本線、南大通り、旭川、広小路に囲まれた、ほぼ長方形の地域ですが、秋田駅とその周辺の線路用地が中通七丁目に含まれるため、北東部は北へ突き出した形状になっています。

歴史と町並み

中通地区は、久保田藩主・佐竹氏の居城であった久保田城の南側に位置し、藩主一族や高禄の家臣が居住した侍町に相当します。現在の町名「中通」は1966年の住居表示実施で正式に定められましたが、江戸時代にはこの地域に存在した廓が「中通廓」と呼ばれていたことから、古くから「中通」という名称が用いられていたと考えられています。歴史資料からは、中通が侍町として重要な役割を果たしていたことが伺えます。特に、1809年の『八丁夜話』や『秋田町士商区別』といった文献には、中通に関する記述があり、その存在が裏付けられています。

中通廓に含まれていた町は、長野町、土手谷地町、中谷地町、東根小屋町、西根小屋町、長町、土手長町、古川堀反町などです。現在の町域と比較すると、北側は千秋明徳町の西部、東側は中通二丁目、四丁目、六丁目の各一部と七丁目全体（アゴラ広場付近まで）、南は五丁目、六丁目の各一部（南大通りよりやや北側まで）、西側はほぼ一致しています。幕末には、さらに鷹匠町、台所町、北ノ丸新町なども廓に含まれていたと推測されています。なお、1965年に廃止された旧町名に「中通町」がありますが、これは現在の大町一丁目と保戸野通町にあたり、侍町の中通とは別の場所です。

戦後の区画整理で新しい道路（中央通りなど）が作られたものの、多くの箇所では藩政期の古い町並みが残り、細い路地や入り組んだ道路が多く見られます。特に南端付近は、堀を埋め立てた跡地を跨いでいるため、複雑な道路形状となっています。中通地区の北東側は手形地区（新栄町、山崎、西谷地）、東側は東通仲町、南側は南通地区（宮田、築地、みその町、亀の町）、西側は、大町、北側は千秋地区（明徳町、久保田町、城下町）に隣接しています。旭川は地区の西側を流れています。

商業と産業

秋田駅西口に面した中通地区は、かつては老舗から大型ショッピングセンターまで様々な店舗が立ち並び、秋田市最大の商業地として栄えていました。しかし、郊外型の大規模商業施設の増加に伴い、近年は衰退傾向にあります。2012年には中通一丁目地区再開発事業が完成し、街の活性化が図られています。現在も多くの商業施設や金融機関、公共施設などが集積し、秋田市の経済活動を支える重要な役割を担っています。

交通と施設

中通地区は秋田駅に隣接しており、JR秋田新幹線、奥羽本線、羽越本線を利用できます。かつては秋田市電も運行していましたが、現在は廃止されています。多くのバス路線が秋田駅西口を発着しており、広小路と中央通りは主要なバス路線の共通経路となっています。中心市街地循環バス「ぐるる」も運行され、地域住民の利便性を高めています。主要な道路としては、秋田県道26号秋田停車場線（広小路）、秋田県道28号秋田岩見船岡線（土手長町通り）、秋田県道62号秋田北野田線（秋田中央道路）などが挙げられます。

地区内には、ベルドゥムール ランドマーク秋田、秋田キャッスルホテル、エリアなかいちなどの商業施設、秋田県立秋田明徳館高等学校、秋田総合生活文化会館・美術館（アトリオン）、秋田市立中通小学校などの教育・文化施設、様々な銀行支店、郵便局、病院などが存在しています。

沿革

中通地区の沿革は、久保田城下町の成立と深く関わっています。慶長12年（1607年）には中通廓が新設され、元和5年（1619年）には割直しが行われました。明治時代以降は、秋田県庁の移転や秋田駅の開業など、多くの歴史的出来事がこの地区で起こりました。秋田市電の運行開始と廃止、秋田駅舎の改築なども、中通地区の歴史に刻まれています。1966年の住居表示実施によって、現在の町丁が形成されました。近年では、中通一丁目地区再開発事業の完成など、街の変容が続いています。

中通地区は、歴史と現代が調和した、秋田市を代表するエリアです。

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