中野幡能

中野幡能（なかの はたよし）

プロフィール

中野幡能は、1916年（大正5年）7月31日に大分県宇佐市で生まれ、2002年（平成14年）12月3日に亡くなった日本の歴史学者です。特に、宇佐八幡宮を中心とした八幡信仰の研究で著名であり、その分野における第一人者として知られています。

学歴と職歴

1943年に東京帝国大学文学部宗教学科を卒業後、大分県立教育研究所副所長を経て、1961年に新設された大分県立芸術短期大学の教授に就任しました。1968年には、「八幡信仰史の研究」で東京大学から文学博士号を授与されました。1983年に大分県立芸術短期大学を定年退官し、名誉教授となりました。

研究活動

中野幡能の研究は、宇佐八幡宮の歴史、八幡信仰の変遷、そしてそれらが地域文化に与えた影響を深く掘り下げたものです。彼の研究は、単に歴史的事実を明らかにするだけでなく、宗教、文化、社会といった多角的な視点から八幡信仰を捉えようとするものでした。

著書と編纂

中野幡能は、多くの著書を執筆し、また、数々の研究書を編纂しました。主要な著書としては、『宇佐八幡宮史の研究』、『八幡信仰史の研究』、『宇佐宮』、『八幡信仰』などが挙げられます。これらの著書は、八幡信仰研究における重要な文献として、現在でも広く参照されています。

また、編纂を手掛けたものには、『英彦山と九州の修験道』、『筑前国宝満山信仰史の研究』、『八幡信仰』、『宇佐神宮史 史料篇』などがあり、研究分野の発展に大きく貢献しました。

受賞歴と晩年

1991年には、長年の研究活動が評価され、秋の叙勲で勲三等瑞宝章を受章しました。また、西日本文化賞も受賞しています。晩年まで、研究活動を続け、2002年に86歳で生涯を閉じました。

中野幡能の研究の影響

中野幡能の研究は、八幡信仰の研究に多大な影響を与えました。彼の研究成果は、宇佐八幡宮や八幡信仰に関する理解を深め、その歴史的意義を再認識する上で不可欠なものとなっています。また、彼の研究手法は、後の研究者たちに大きな影響を与え、地域文化研究の発展に寄与しました。

主な著書リスト

『宇佐八幡宮史の研究 第1集』 豊日史学会、1957
『六郷満山の史的研究 くにさきの仏教文化』 藤井書房、1966
『八幡信仰史の研究』 吉川弘文館、1967
『柳ケ浦町史』 柳ケ浦町史刊行会、1970
『古代国東文化の謎 宇佐神道と国東文化』 新人物往来社、1974
『八幡文化の秘宝 宇佐・国東・臼杵』 新人物往来社、1976
『宇佐宮』 吉川弘文館、1985
『八幡信仰』 塙新書、1985
『宇佐神宮の研究』 国書刊行会、1995
『宇佐八幡宮放生会と法蓮』 岩田書院、1998
『八幡信仰と修験道』 吉川弘文館、1998

主な編纂リスト

『英彦山と九州の修験道』 名著出版、1977
『筑前国宝満山信仰史の研究』 太宰府天満宮文化研究所、1980
『八幡信仰』 雄山閣出版、1983
『宇佐神宮史 史料篇』 宇佐神宮庁、1984-2011
『神道大系 神社編 47 宇佐』 神道大系編纂会、1989
『神道大系 神社編 48 大宰府』 神道大系編纂会、1991
『盲僧』 名著出版、1993
* 『八幡信仰事典』 戎光祥出版、2002

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