中野正三

中野正三

中野正三（なかの しょうぞう、1888年1月6日 - 1977年12月22日）は、日本の柔道家であり、講道館柔道十段に列せられています。彼は特に内股の名人として広く知られています。

経歴

中野正三は、1888年に新潟県五泉町（現在の五泉市）で生まれました。17歳で上京し、講道館に入門。柔道の道を歩み始めます。また、東京正規英語学校（現在の正則学園高等学校）を経て日本大学殖民科で学び、武道家としての素養を磨きました。

自然体から繰り出される左右の内股や跳腰は、後の柔道技術の発展に大きな影響を与えました。彼の技は、基本に忠実でありながらも、独自の工夫が凝らされており、多くの柔道家にとって模範とされました。

主な略歴

1888年：新潟県五泉町で出生
1905年：上京し講道館に入門
1907年：初段昇進
1908年：二段昇進
1909年：三段昇進、警視庁柔道世話係に就任
1910年：警視庁武道師範嘱託、同師範（- 1933年）、日本大学師範（- 1929年）
1912年：四段昇進
1916年：慶應義塾師範（- 1946年）
1918年：五段昇進、大日本武徳会柔道精錬証を受ける
1920年：大日本武徳会柔道教士の称号を得る
1926年：六段昇進、皇宮警察柔道師範（- 1944年）
1929年：御大礼記念天覧武道大会審判員を務める
1933年：七段昇進
1934年：皇太子殿下御誕生奉祝天覧武道大会審判員を務める
1937年：八段昇進
1948年：九段昇進
1977年：逝去（享年90歳）、死後、十段を追贈される

中野の内股

中野正三の内股は、伝説として語り継がれています。一般的な柔道の形にある、後ろに崩して投げる内股とは異なり、腰で跳ね上げる独特のスタイルが特徴でした。相手が左構えでも右構えでも、押していても引いていても、その技は効果を発揮したと言われています。

中野自身は、「新しく内股をやり始めたと言っても、その基礎は跳腰でやっていたから、そんなに苦労はなかった」、「内股は、胸と腰さえ取れば、それほど足を突っ込まなくてもかかる。内股はどちらかといえば腰技に近く、相手の足が開いていようが閉じていようが技はかかる」と語っており、彼の内股が単なる足技ではなく、体全体のバランスと腰の力が重要であったことを示唆しています。

参考文献

宮内省監修『皇太子殿下御誕生奉祝 昭和天覧試合』801頁、大日本雄弁会講談社編

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