中野電車区

中野電車区（なかのでんしゃく）は、東京都中野区に位置していた東日本旅客鉄道（JR東日本）首都圏本部管轄の組織です。その主な役割は、鉄道運行を担う運転士が所属することでした。歴史的には、中央・総武緩行線で使用されるカナリア色の電車が配備されていた時期もありましたが、後にその機能は他の車両基地へ移管されました。長い歴史を持つ当組織は、2024年 9月30日をもってその役割を終え、廃止されました。現在は、後継組織である中野統括センターの中野南乗務ユニットとして、その機能の一部が引き継がれています。

歴史

中野電車区の起源は、明治時代に遡ります。1904年（明治37年）2月には、その前身にあたる甲武鉄道新宿電車庫が新宿駅の構内に開設されました。その後、新宿駅の拡張工事に伴い、1921年（大正10年）7月10日には現在の敷地へ移転し、「中野電車庫」と名称を改めました。組織名の変更はさらに進み、1936年（昭和11年）9月には現在の「中野電車区」となりました。

昭和後期には、その機能に大きな変化が生じます。1986年（昭和61年）3月3日、中央・総武緩行線の車両配置が見直され、所属車両は三鷹電車区や習志野電車区といった他の基地に集約されました。これにより、中野電車区は車両配置の機能を持たない、運転士のみが所属する組織となりました。

そして、令和に入り、鉄道組織の再編が進む中で、中野電車区はその歴史に幕を下ろすこととなります。2024年（令和6年）10月1日、中野営業統括センターおよび中野車掌区と統合され、新たに「中野統括センター」が発足しました。この統合をもって中野電車区は廃止され、長年親しまれた「電車区」という名称を持つ組織は、JR東日本管内から姿を消すこととなりました。

車両配置と略号

かつて中野電車区に車両が配置されていた頃、所属車両の車体にはその基地を示す略号が記されていました。当初は「東カノ」という略号が使われていましたが、1969年以降は「西カノ」に変更されました。これらの略号は、それぞれ所属する鉄道管理局と基地名から構成されていました。「東」は東京鉄道管理局、「西」は1969年以降の東京西鉄道管理局を意味し、「カノ」は中野を示しています。

前述の通り、1986年 3月3日をもって車両配置はなくなりましたが、それ以前は中央・総武緩行線用の電車が配属されていました。例えば、国鉄を代表する通勤形電車である201系も、この基地に配置されていた時期があります。中央線快速電車系統では分割・併合運用がありましたが、中央・総武緩行線で運用されていた201系にはそのような運用はありませんでした。しかし、中野電車区の検査線は有効長が10両編成に対応していなかったため、検査時には編成を分割する必要がありました。このため、10両編成で導入された201系も、6両と4両に分割可能な編成として投入されていました。

現在の状況とその他の施設

中野電車区が廃止された現在も、その敷地は鉄道関連施設として活用されています。主に、中央・総武緩行線の列車が夜間などに留置される電留線（留置線）として機能しています。現在、10両編成に対応した電留線が12線設置されているほか、引き上げ線も配置されており、列車の入出庫などに利用されています。

また、地域住民との交流や鉄道ファンへのサービスの一環として、過去には基地公開イベントが開催されたこともあります。2010年から2015年にかけて、11月には「働く車両大集合」と題したイベントが行われ、普段は見られない鉄道車両や施設が公開されました。このイベントは事前抽選による入場限定制で実施されていました。

参考文献として、鉄道図書刊行会発行の『鉄道ピクトリアル』2006年4月号特集「201系・203系電車」に掲載された記事「中央線電車区ものがたり」などがあります。関連事項としては、日本の車両基地一覧や中野駅（東京都）などが挙げられます。

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