中鉢良治

中鉢良治

中鉢良治（ちゅうばち りょうじ、1947年9月4日 - ）は、日本の実業家であり、工学博士の学位を持つ人物です。国立研究開発法人産業技術総合研究所の最高顧問、東京情報デザイン専門職大学の学長、ゆうちょ銀行の取締役、NTTの取締役を務めています。

生い立ちと学歴

1947年、宮城県玉造郡鳴子町（現在の大崎市）で生まれました。宮城県仙台第二高等学校を卒業後、東北大学工学部に進学。同大学大学院工学研究科博士課程で下飯坂潤三教授の指導を受け、1977年に工学博士号を取得しました。高校の同級生には、後にKDDIの社長となる小野寺正がいました。

技術者としてのキャリア

1977年、大学院修了と同時にソニーに入社。アメリカのソニー・マグネティック・プロダクツ・インクに赴任後、記録メディア事業本部ビデオテープ事業部長、レコーディングメディア&エナジーカンパニーのバイスプレジデント、コアテクノロジー&ネットワークカンパニーのシニアバイスプレジデントなどを歴任しました。技術者として、ソニーの記録メディア事業の発展に大きく貢献しました。

経営者としての手腕

1999年には執行役員に就任し、コアテクノロジー&ネットワークカンパニーやマイクロシステムズネットワークカンパニーのNCプレジデントを歴任しました。その後、常務、上席常務を経て、副社長兼最高執行責任者（COO）に就任。2005年には取締役に就任し、代表執行役社長兼エレクトロニクスCEOとしてソニーの経営を担いました。2009年には取締役・代表執行役副会長となり、製品安全・品質や環境などの分野を統括しました。

また、日本経済団体連合会（経団連）では、評議員会の副議長と産業技術委員会の共同委員長を兼任。2010年には総合科学技術会議議員、2011年には東日本大震災復興構想会議委員に就任するなど、幅広い分野で活躍しました。2013年には独立行政法人産業技術総合研究所の理事長に就任し、日本の科学技術の発展に貢献しました。

中鉢氏は、ソニーの役員報酬として、2009年に2億1304万円、2010年に約2億1500万円、2012年には1億9400万円を受け取っていました。

ソニーへの熱い思い

中鉢氏は、「エレクトロニクス事業の復活なくして、ソニーの復活はない」と語り、ソニーへの強い愛情と使命感を表明しています。ソニー製品には「夢」と「感動」があり、高性能、優れたデザイン、長持ちが特長であり、価格は高いものの、所有することに満足感や誇りを感じることができると述べています。この「ソニープレミアム」こそが、ソニーが再び輝くための鍵であると強調しました。また、ソニーの社員の士気を高めることで、売上や利益の増加、シェア拡大につながるとも述べています。

主な略歴

1977年：東北大学大学院工学研究科博士課程修了、工学博士の学位を取得
1977年：ソニー株式会社入社
1981年：磁気製品事業本部研究開発部
1989年：ソニー・マグネティック・プロダクツ・インク・オブ・アメリカ赴任
1992年：記録メディア事業本部ビデオテープ事業部長
1998年：レコーディングメディア&エナジーカンパニー バイス・プレジデント
1999年：コアテクノロジー&ネットワークカンパニーシニア・バイス・プレジデント
1999年：執行役員
2002年：コアテクノロジー&ネットワークカンパニーNCプレジデント
2002年：執行役員常務
2003年：マイクロシステムズネットワークカンパニーNCプレジデント
2003年：業務執行役員上席常務
2004年：執行役副社長兼COO
2005年：エレクトロニクスCEO
2005年：取締役・代表執行役社長兼エレクトロニクスCEO
2009年：取締役・代表執行役副会長、デジタルコンテンツ協会会長
2013年：独立行政法人産業技術総合研究所理事長
2014年：国立研究開発法人産業技術総合研究所理事長
2018年：国立研究開発法人協議会会長、ゆうちょ銀行取締役
2020年：国立研究開発法人産業技術総合研究所理事長退任、国立研究開発法人産業技術総合研究所最高顧問
2022年：日本電信電話取締役
2023年：東京情報デザイン専門職大学学長

外部リンク

中鉢良治次期社長に聞く「ソニースピリットはよみがえるか」（下）
Leaders´ Voice：第1回 中鉢良治（2008/07/03）

もう一度検索