中間貯蔵施設

中間貯蔵施設とは

中間貯蔵施設とは、原子力発電所などで発生する放射性廃棄物や使用済核燃料を、最終処分場や核燃料再処理工場へ搬出するまでの間、一時的に保管する施設です。一時的な保管とは言え、移送先が確定していない場合や、技術的な問題で長期化する可能性があり、保管期間は不特定かつ長期に及ぶことがあります。

日本の中間貯蔵施設

日本国内では、以下の施設が稼働または計画されています。

リサイクル燃料備蓄センター（青森県むつ市）：東京電力と日本原子力発電が共同で運営する、使用済核燃料を一時保管する施設です。
中間貯蔵施設（福島県大熊町、双葉町）：福島第一原子力発電所事故によって発生した、除染土壌や放射性物質に汚染された廃棄物を保管する施設です。

今後予定される中間貯蔵施設の設置

関西電力は福井県に対し、大飯原子力発電所3・4号機の再稼働に向けて、県外での中間貯蔵施設の建設を検討していましたが、難航しています。
中国電力は関西電力と共同で、山口県上関町に中間貯蔵施設を建設する方針を示しており、町が受け入れを検討しています。

アメリカ合衆国の中間貯蔵施設

アメリカでは、使用済燃料を直接処分する方針を取っていますが、ユッカマウンテン処分場の計画中止により、多くの使用済燃料が発電所内に保管されています。そのため、各発電所敷地内に独立した貯蔵施設が建設されているほか、ニューメキシコ州南部やテキサス州アンドリュース郡で集中中間貯蔵施設の建設が計画されています。

ドイツの中間貯蔵施設

ドイツでは、以下のような中間貯蔵施設が設置されています。

ゴアレーベン中間貯蔵施設：1984年から稼働しており、使用済燃料や再処理後の高レベル放射性廃棄物を保管しています。当初は最終処分場の候補地でしたが、現在は維持管理のみが行われています。
アーハウス集中中間貯蔵施設：1992年から稼働しており、高温ガス炉や研究炉で使用された燃料を保管しています。
ノルト集中中間貯蔵施設：1998年から稼働しており、廃止された原子力発電所の近隣に位置し、他の発電所からの使用済燃料や廃棄物も受け入れています。

スイスの中間貯蔵施設

スイスでは、以下の施設が稼働しています。

ヴュレンリンゲン放射性廃棄物集中中間貯蔵施設：2001年から稼働。
ベツナウ中間貯蔵施設：1994年から稼働。ベツナウ原子力発電所内で発生した使用済燃料に加え、海外からの高レベル放射性廃棄物も受け入れています。
連邦中間貯蔵施設：1992年から稼働。医療、産業、研究施設から出る放射性廃棄物を保管しています。

スウェーデンの中間貯蔵施設

スウェーデンでは、オスカーシャム原子力発電所敷地内に集中中間貯蔵施設が設置され、1985年から稼働しています。

まとめ

中間貯蔵施設は、放射性廃棄物を安全に管理するための重要な施設です。しかし、その保管期間の長期化や、最終処分場の選定難航といった課題も抱えています。各国で異なる事情や方針に基づき、中間貯蔵施設の設置や運営が行われています。

脚注

経済産業省[資源エネルギー庁]] (2016年3月). “諸外国における放射性廃棄物関連の施設・サイトについて”. [https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2016html/112-1-3.html 2020年10月17日閲覧。

関連項目

地層処分
* 核燃料サイクル

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