丸山昭

丸山昭：漫画界の巨匠を育てた名編集者

丸山昭（まるやま あきら）は、1930年11月14日に山梨県甲府市で生まれ、2016年12月15日に86歳で没した、日本の漫画編集者です。学習院大学文学部哲学科を卒業後、講談社に入社し、『少女クラブ』編集長、講談社取締役を歴任しました。

手塚治虫との出会いとトキワ荘の漫画家たち

1950年代から1960年代にかけて、丸山は手塚治虫担当の編集者として活躍しました。初期のトキワ荘に住む漫画家たちを発掘し、石ノ森章太郎、赤塚不二夫、水野英子といった、後に漫画界を代表する才能を育て上げたことで知られています。藤子不二雄Aの自伝漫画『まんが道』には、「編集長の丸池」として登場し、その存在感を示しています。

1953年、大日本雄弁会講談社（現・講談社）に入社した丸山は、翌年『少女クラブ』編集部に配属され、「リボンの騎士」を連載していた手塚治虫の担当となります。1955年には、手塚治虫を訪ねてきた石ノ森章太郎、赤塚不二夫、長谷邦夫と偶然出会い、後に石ノ森、赤塚の担当として、トキワ荘の漫画家たちとの交流を深めます。また、水野英子の投稿作に注目し、トキワ荘に呼び寄せて育成しました。

1958年に『ぼくら』編集部に異動した後、1959年には『少女クラブ』編集長に就任。1967年には講談社フェーマススクールズの設立に参加し、同社の取締役となります。

トキワ荘同窓会と手塚治虫文化賞

1981年、手塚治虫を中心にトキワ荘の元居住者らが集まった同窓会（「同荘会」）が開かれ、丸山は漫画家以外で唯一の参加者となりました。この模様はNHK特集で放送されました。

1998年に講談社を退社後、2001年には、トキワ荘グループの漫画家を育てた功績により、第5回手塚治虫文化賞特別賞を受賞しました。2000年代後半には、かつての漫画編集者を取材し、講演会を開催するなど、漫画史の記録を残す活動にも尽力しました。

2016年、大腸癌のため86歳で逝去されました。

人柄と功績

漫画家の水野英子は、1970年代に原稿が粗雑に扱われることが多かった時代に、丸山がきちんと原稿を返却してくれたことに感銘を受けたと語っています。丸山は、漫画家の才能を尊重し、丁寧に育成する姿勢を持っていたことが伺えます。

丸山昭は、手塚治虫をはじめとする多くの漫画家を育て、漫画界の発展に大きく貢献しました。その功績は、手塚治虫文化賞特別賞の受賞や、自伝漫画への登場など、様々な形で語り継がれています。

著書

『まんがのカンヅメ―手塚治虫とトキワ荘の仲間たち』ほるぷ出版、1993年
増訂版『トキワ荘実録―手塚治虫と漫画家たちの青春』小学館〈小学館文庫〉、1999年
* 『トキワ荘青春物語』（共著）蝸牛社、1995年

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