丸山芳介

丸山芳介：激動の時代を駆け抜けた会津藩士、実業家、そして政治家

丸山芳介（まるやま よしすけ）は、安政2年（1855年）に会津藩士の家に生まれ、大正11年（1922年）に没した人物です。彼は、武士としての出自を持ちながら、実業家、政治家としても多岐にわたる活躍を見せました。

会津藩士から実業家へ

丸山は、会津藩士の丸山玄斎の次男として生まれ、幼少期は日新館で学びました。戊辰戦争では会津若松城に籠城し、池上三郎や南清といった戦友と共に戦いました。戦後、上京して南摩綱紀の門下生となり、その後は北海道で開拓に従事します。そこで島田組幹部の大三輪長兵衛に認められ、同社に入社しますが、間もなく倒産。苦しい時代を過ごします。

転機となったのは、山陽鉄道技監となっていた南清との再会でした。この再会をきっかけに、丸山は山陽鉄道の土木工事を請け負い、その実績を基に播但鉄道、南海鉄道、阪鶴鉄道といった大規模な土木工事を成功させました。彼の事業は関西地方にとどまらず、北海道の函樽鉄道の土木工事も請け負うなど、その手腕は全国的に評価されました。

姫路における活動

明治25年（1892年）から姫路に居を構えた丸山は、姫路の発展に大きく貢献しました。日露戦争後、留守第十師団長の柴野義広から大塚武臣（姫路市長）に製革事業が勧められた際、丸山はこの事業を引き受け、姫路製革所を開設しました。この背景には、姫路がかつて革細工の産地であったこと、捕虜に製革技術者がいたこと、そして日本製軍靴の品質向上が求められていたことなどがありました。姫路製革所は、日英博覧会で名誉金牌、世界博覧会で最高賞を受賞するなど、高品質な革製品を生産し、国内外から高い評価を得ました。

その後、伊藤長次郎や川西清兵衛らの出資を受け、事業規模を拡大。姫路製革所は山陽皮革となり、川西が社長、丸山が常務として経営にあたりました。その他にも、播磨水力電気や山陽水力電気の監査役、姫路海産物青物定市場の社長、姫路信用組合（現姫路信用金庫）の設立に関わるなど、多岐にわたる事業に携わりました。また、姫路倉庫や姫路米穀取引所の役員も務め、明治44年（1911年）には姫路商業会を設立し、会長に就任しました。

政治家としての顔

丸山は、明治39年（1906年）に姫路市会議員に当選し、その後兵庫県会議員にも選出されました。彼は立憲国民党に所属し、党兵庫県支部幹事、郡部会副議長、同議長を歴任しました。大正4年（1915年）の総選挙では、姫路市から立候補し、長田秋濤や砂川雄峻らを破って衆議院議員に初当選。帝国議会では、精算委員や特産法制定委員を務めました。第三十七回帝国議会では公友倶楽部の結成に加わり、常任幹事として活動しました。第一次世界大戦での貢献が認められ、勲四等の叙勲を受けています。

人材育成への貢献

丸山は、私財を投じて後進の育成にも尽力しました。姫路高等女学校や姫路商業学校の創立に際しては、当局との折衝を行い、開校に大きく貢献しました。また、学校設立のために土地や金品を寄付するなど、物心両面から支援を行いました。会津会会員、稚松会賛助員としても活動し、彼の援助によって大学を卒業した同郷人もいました。

丸山芳介は、激動の時代を生き抜き、武士、実業家、政治家として、そして後進の育成者として、多岐にわたる分野でその才能を発揮し、社会に貢献した人物として、その名を歴史に刻んでいます。

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