丸山邦雄

丸山邦雄

丸山邦雄（まるやま くにお）は、1903年6月2日に長野県で生まれ、1981年10月17日に亡くなった日本の経済学者、社会運動家です。明治大学教授として教鞭を執る傍ら、終戦直後の混乱期において、満州に取り残された多くの日本人同胞の救済に尽力しました。

生い立ちと教育

長野県下水内郡柳原村（現在の飯山市）で生まれた丸山は、旧制高校を卒業後、明治大学法科に進学し法律を学びました。1930年に明治大学を卒業後、アメリカに留学。ピュージェットサウンド大学、ジョージ・ワシントン大学、コロンビア大学で政治経済学を専攻し、BA、MAの学位を取得しました。1937年にアメリカを離れ、ヨーロッパ諸国を訪問。1938年に帰国しました。

満州での活動

帰国後、丸山は満州に渡り、鞍山市に本社を置く昭和製鋼所（満州製鉄株式会社）に入社。調査、報道、社員教育を担当しました。終戦を迎えた1945年、丸山は42歳でした。

満州同胞の引き揚げ

終戦直後、丸山は新甫八朗、武蔵正道らと共に、満州に取り残された同胞の救済活動を開始しました。全満カトリック教会管長レイモンド・レイン司教や全満日本人会長高碕達之助らの協力を得て、高碕からの日本政府宛の密書を携え、1946年3月9日に満州を脱出。海路を経て、同年3月13日に山口県仙崎に上陸しました。その後、在満同胞救済代表として上京し、ラジオ放送や各地での演説を通じて、同胞救済の世論を高めました。

英語に堪能な丸山は、ローマ法皇庁使節ポール・マレラ大司教、楢橋内閣書記官長、幣原首相、GHQ副官ヒューラ大佐、マッカーサーの相談役パトリック・バーン神父、さらにはマッカーサー本人、吉田茂外相、佐藤栄作鉄道総局長官など、多数の日米欧要人と直接面会し、救出のための交渉を行いました。その結果、終戦から8ヶ月後の1946年4月、約170万人の在満同胞の脱出・祖国引き揚げが実現しました。実際に引き揚げられたのは約105万人とされています。

大学教育への貢献

1952年、丸山は母校である明治大学の講師に就任。生田キャンパス（農学部）では経済学と英語、駿河台キャンパス（文学部）では英語を担当しました。1953年には新設された経営学部の講師、後に教授に就任。1964年には大学から研究視察のため欧米に派遣され、イギリスのグラスゴー大学、エディンバラ大学で経済学と経済学史の研究を行いました。明治大学の民主化にも尽力し、1969年に定年制により明治大学兼任講師、同年帝京大学専任教授に就任しました。また、本邦政経研究会長、日米協会、国際善隣倶楽部の正会員も務めました。

個人生活

アメリカのピュージェットサウンド大学在籍時に、日系2世の女性メアリー・タケダ（武田万里子）と知り合い、後に結婚。二人ともクリスチャンで、四男二女をもうけました。

その他

丸山の生涯は、NHK-TV特集ドラマ『どこにもない国』として映像化され、2018年3月24日、31日に放映されました。

主要著書

『在滿同胞を救へ』公民教本社、1946年
『ユートピアをめざして　アジアの曙- 死線を越えて』しなの出版、1970年
『なぜコロ島を開いたか 在満邦人の引揚げ秘録』永田書房、1970年
『経済学要論』文雅堂銀行研究社、1971年
『欧米経済史要論』多賀、1976年
"The Swan of Avon"
"An Inquiry into Japan's Characteristic of Population Problem" Edited
"Elements of Economics" by Alfred Marshall

子息、丸山邦昭の著書
ポール・邦昭・マルヤマ：著『[1]』（柏艪舎、2011年）

関連項目

葫芦島在留日本人大送還

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