丸毛利恒

丸毛 利恒（まるも としつね）

丸毛利恒は、1852年1月19日に江戸で誕生した幕末の幕臣であり、彰義隊の隊士として知られています。幼少期には「貞三郎」と名乗り、後に士常や靫負（ゆきえ）などの名前でも知られました。明治時代に入ると、彼は牛之助や破魔雄という名前を使い、さらには樵村や樵峰、樵廼屋主人といった雅号も持つようになりました。

経歴

彼は、旗本の大草弥三郎の三男として生まれ、1858年に旗本の丸毛彦三郎の養子となりました。剣術や槍術、馬術、柔術など多様な武道を修め、さらに軍艦操練所で科学や数学、洋兵学を学びました。1864年には別手組隊士として活動を開始し、また1866年には第二次長州征伐に伊予方面で参加しますが、その後徳川家茂の死により江戸へ戻りました。

1867年には奥詰銃隊に選ばれ、徳川慶喜の警護に従事し、次第に出世していきました。鳥羽・伏見の戦いでは大坂城に待機していましたが、敗戦後に江戸に帰還し、江戸開城の決定に伴い奥詰銃隊を脱走。彰義隊に加わり、組頭格として活動を始めました。上野戦争では伝令役として奮闘し、戦後に榎本武揚が率いる旧幕府軍とともに蝦夷地に渡りました。

彼の活動の一環として行われた箱館戦争では、彰義隊の差図役頭取を務め、五稜郭本営詰めとして新政府軍との戦いに参加しました。特に七重浜の襲撃に積極的に関与していました。戦争の終息後、降伏し、謹慎期間中に『北洲新話』という著作をまとめました。この著書は、箱館戦争の記録として重要な資料となっています。

明治3年の春に釈放された後、丸毛は明治政府に仕官し、横浜税関や農商務省での勤務を経て、横浜毎日新聞の記者にもなりました。その後も台湾総督府税関への出張など、さまざまな職務を経験しながらその知識を活かしていきました。

家族と晩年

私生活では、彼の娘たちは古河電気工業の専務である荻野元太郎、佐々木指月、水野葉舟のいずれかに嫁いでいきました。彼の人生は、幕末から明治時代にかけての激動の時代を反映したものであり、彼自身もその波の中で重要な役割を果たしました。

丸毛利恒は、1905年8月6日に東京の自宅で病気によりこの世を去りました。享年は55歳であり、彼の足跡は今でも多くの人々に記憶されています。彼の残した著作には『北洲新話』のほか、『感旧私史』や『樵村雑録』などがあり、歴史研究や文学においても影響を与えています。

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