丸美屋 (百貨店)

丸美屋（青森県八戸市）

丸美屋は、かつて青森県八戸市に出店していた百貨店です。地元住民の出資によって設立された、地域密着型の百貨店でした。

歴史

開業の経緯

八戸市周辺の住民から百貨店開設の要望が高まったことを受け、地元の漁業関係者や新聞社社長らが出資し、1951年（昭和26年）に資本金2000万円で「株式会社丸美屋」が設立されました。社名は公募によって決定され、社長には地元の資本家である中島石蔵が就任しました。商品の仕入れ面では、岩手県盛岡市の百貨店川徳の支援を受けました。

1951年12月13日、丸美屋は八戸市の十三日町に八戸初の百貨店として開業しました。開店初日から多くの買い物客が訪れ、地元住民に歓迎されました。しかし、地元の商店街は丸美屋の開店に危機感を抱き、合同セールを行うなど、激しい商戦が繰り広げられました。

当時の百貨店は、呉服店が発展するケースや鉄道会社が設立するケースが一般的でしたが、丸美屋のように地元資本で設立された百貨店は珍しい事例でした。

競合店の出現と経営悪化

1960年（昭和35年）には三萬（後のユニバース）が百貨店を開業し、1964年（昭和39年）には青森市の百貨店カネ長武田が進出するなど、八戸の百貨店業界は競争が激化しました。1965年（昭和40年）には売上高5.3億円を記録し、地域一番店の座を維持しましたが、最盛期でも地元小売業販売額全体の約3%にとどまり、大規模小売店としての営業は不十分だったとされています。

1967年（昭和42年）から売上が減少し始め、1968年（昭和43年）には仙台の丸光（現さくら野百貨店）と東京の緑屋が大型店舗を開設し、競争はさらに激化しました。丸光の目標売上高は約40億円と、丸美屋の約8億円の5倍という高い目標でした。

丸美屋は、川徳の支援を受けながら隣接地の取得と増床を計画しましたが、売上は急激に落ち込み、1969年（昭和44年）2月には2780万円の赤字に転落しました。用地買収費や運転資金の確保などで負債は約5億円に膨らみ、経営状況は急速に悪化しました。

翌年に長崎屋の進出が予定されていたこともあり、丸美屋は再建を断念し、1969年11月13日に閉店、同月15日に倒産しました。

閉店後

会社清算中の1970年（昭和45年）3月20日、丸美屋は隣接していた衣料品店三春屋に買収され、三春屋が増床して百貨店を開業しました。

まとめ

丸美屋は、地元住民の期待を背負って開業した百貨店でしたが、競争激化と経営悪化により短期間で閉店しました。しかし、その存在は八戸市の商業史に名を刻み、地元住民の記憶に残っています。

関連項目

* 三春屋

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