丹花庵古墳

概要

丹花庵古墳（たんげあんこふん）は、島根県松江市古曽志町に所在する古墳で、方墳の形状が特徴です。この古墳は、1997年に行われた測量調査によって、その重要性が再評価されました。墳形は方形で、現在の測量結果では45メートル×49メートルの大きさを有し、かつては一辺47メートルとされていました。墳丘は2段に築かれており、外周部には葺石や円筒埴輪が見られます。

埋葬施設について

古墳の中心には、凝灰質砂岩で作られた長持形石棺があります。この石棺は直葬の形で埋葬されており、現在は蓋石が露出しています。石棺は、底石1、長側石2、短側石2、蓋石1の合計6つの石から構成されており、高さは約1.2メートル程度です。底石のサイズは、長さ2.58メートル、幅1.0メートル、厚さ0.26メートルで、両端には縄掛突起があります。特に蓋石は、蒲鉾形に刳り抜かれ、外面には鋸歯文の線刻が施されています。この石棺は過去に盗掘の被害に遭いましたが、その際に鉄剣2本や鉄刀3本などが発見され、現在は島根大学の考古学研究室に保管されています。

築造時期と文化的背景

丹花庵古墳の築造は、古墳時代中期の5世紀後半とされており、長持形石棺はこの時期の古墳に特有のもので、「王者の石棺」とも呼ばれるスタイルです。この古墳は出雲地方において唯一の典型的な長持形石棺を有しており、その鋸歯文は特に注目に値します。また、近隣の古曽志大塚1号墳や古曽志大谷1号墳と共に中規模の首長墓群を形成しており、その埋葬施設は当時の政治情勢を考察する上で重要な手がかりとなります。

史跡指定と遺跡の歴史

丹花庵古墳は、1933年に国の史跡として指定されました。その歴史は明治時代にさかのぼり、この時期には既に石棺が露出していました。大正時代には、野津左馬之助による発掘調査が行われ、石棺の実測や写真撮影も行われました。1930年には梅原末治がこの古墳を学会で紹介し、続いて1933年には正式に国の史跡として認定されました。

戦後には墳丘の測量や石棺蓋石の実測調査が行われ、1997年には再度詳細な測量調査が実施され、古墳の重要性が改めて確認されました。

まとめ

丹花庵古墳は、その構造や関連する遺物から、古墳時代中期の文化や埋葬習慣の理解に寄与する貴重な史跡です。国の史跡に指定されており、現在でも研究が続けられているこの古墳は、歴史的な価値を持つ重要な文化財として位置づけられています。文化財としての保護と研究が進むことにより、今後さらなる発見が期待されます。

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