乃木神社 (東京都港区)

乃木神社の概要と歴史

乃木神社（のぎじんじゃ）は、東京都港区赤坂にある神社で、明治時代の陸軍大将乃木希典とその妻静子を祀っています。元々は府社として知られ、現在は神社本庁の別表神社に位置付けられています。この神社は、乃木夫妻が明治天皇の大葬の日に自刃した邸宅（現在の乃木公園及び旧乃木邸の隣）に隣接しています。また、梅の季節には期間限定で「梅香守」が頒布されることで、訪れた人々に特別な体験を提供しています。

乃木神社の歴史

乃木神社の根本的な歴史は、1912年7月30日に明治天皇が崩御された時点にさかのぼります。その大喪儀の日、乃木希典と静子夫婦は天皇に殉じて自ら命を絶ちました。この際の彼らの忠誠心に感銘を受けた多くの国民が、乃木邸を訪れ、その数は日に日に増えていきました。乃木夫妻の葬儀が行われたと同時に、近隣の「幽霊坂」という坂道が「乃木坂」と名付けられました。

1913年には、当時の東京市長阪谷芳郎が中心となり、乃木夫妻を祀る中央乃木会が設立されました。これにより、乃木邸内に小さな社が設けられ、夫妻の霊が安置されることとなります。1919年には乃木神社創建の許可が下り、1923年11月1日に鎮座祭が執り行われました。神社の設計は建築家の大江新太郎によるものです。

しかし、1945年5月の東京大空襲によって社殿は焼失してしまいます。しかし、多くの崇敬者の支援により、1962年9月13日には祭神50年祭に合わせて本殿、幣殿、拝殿が復興されました。この復興事業も、大江新太郎の息子である大江宏が設計を行っています。その後、1983年には息子たちによってコンクリート造の宝物殿も建設されました。

境内社と周辺施設

乃木神社には、正松神社や赤坂王子稲荷神社といった境内社があります。正松神社は乃木が師事した玉木文之進とその甥、吉田松陰を祀るものであり、1963年に創立されました。また、赤坂王子稲荷神社は、乃木夫妻が崇敬していた王子稲荷神社から勧請され、1962年に創立されました。

神社周辺には乃木會館（乃木会館）という施設もあり、ここでは婚礼や宴会が行われるほか、レストランも併設されています。隣接する乃木公園は、乃木夫妻が暮らしていた邸宅があった場所で、乃木の遺言によって寄贈された後に公園として整備され、1913年に開設されました。明治時代の和洋折衷建築として貴重な存在です。

また、乃木家の墓所はこの神社にはなく、近隣の青山墓地に所在しています。例祭日には墓前祭が行われ、乃木夫妻を偲ぶ行事が続けられています。さらに、乃木坂46のメンバーがこの神社を訪れることもあり、ヒット祈願や成人式の行事が行われることで知られています。

乃木神社は歴史的な背景を持ちながら、地域の文化と切り離せない存在となっています。

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