久世氏

久世氏の歴史と影響

久世氏（くぜし）は、日本における武家および華族の系統を持つ著名な氏族です。彼らは、戦国時代に松平氏（のちの徳川氏）に仕官し、江戸時代には譜代大名として下総国関宿藩を築きました。明治時代には華族の子爵家へと昇格するなど、長い歴史を有していることが特徴です。

起源と戦国時代の栄光

久世氏は、村上源氏久我流に由来するとされ、その起源は三河国額田郡に居住していた小野氏の子孫に遡ります。小野十郎高広の子である高長が、母の姓を用いて久世と名乗るようになることが始まりです。高長は当時、松平清康とその子広忠に仕え、その後、広宣が徳川家康に仕官し、多くの戦功を上げました。このように、久世氏は早くから徳川家に接近し、重要な地位を確立しました。

譜代大名としての繁栄

広宣の三男である広之は、徳川秀忠および家光に近侍し、慶安元年（1648年）には1万石を所領として譜代大名となりました。また、寛文9年（1669年）には下総国関宿藩の藩主に昇進し、若年寄や老中の職も経験しました。これにより、久世氏は江戸時代における有力な藩士としての地位を築くこととなりました。

その後、広之の息子である重之の代には関宿藩から庭瀬藩、丹波亀山藩、三河吉田藩と転封を繰り返しましたが、宝永2年（1705年）に関宿藩に復帰したことは、久世氏にとって重要な出来事です。

幕末と明治時代の試練

幕末の広周は老中首座として公武合体政策を進め、和宮の降嫁に関与しましたが、文久2年(1862年)に失脚し、永蟄居を命じられるなど、波乱の時代を経験しました。広周の息子である広文の代では、江戸幕府の崩壊と王政復古が起こり、明治元年（1868年）には徳川脱走兵が上野に集結した際、関宿藩士も関与したため辞職を余儀なくされました。この時、弟の広業は相続を許されたものの、王政に反した罪により5,000石の減封となり、4万3,000石の所領を持つことになりました。

しかし、明治2年（1869年）には版籍奉還が行われ、広業は関宿藩知事に任命され、1871年の廃藩置県までその地位に留まりました。さらに、明治17年（1884年）には華族令が施行され、旧小藩知事として子爵に叙爵されました。

久世家の現代

久世氏は、昭和前期においても東京市牛込区市谷加賀町に邸宅を持ち、3代子爵広武は昭和22年（1947年）に華族制度が廃止されるまで、家族としての地位を維持しました。現代の久世家も続き、13代目の久世廉登氏が存命中です。

このように、久世氏は数世代にわたって日本の歴史の中で重要な役割を果たしてきました。彼らの歴史は、武士から華族への変遷を示す一例として、学術的な関心を集めています。

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