久保勘一

久保 勘一について

久保 勘一（くぼ かんいち、1910年9月25日 - 1993年11月23日）は日本の著名な政治家であり、長崎県知事（公選第7-9代）や参議院議員（2期）として活躍しました。彼の愛称である「クボカン」は、地元での親しみを象徴しています。また、娘の中尾郁子は以前五島市の市長を務めており、政治家一家の一員でもあります。

人物の背景

久保は長崎県五島列島の三井楽町（現五島市）で生まれ育ちました。長崎県師範学校（現在の長崎大学）を卒業した後、地元の農協組合長を経て、長崎県議会議員に選出されました。1961年から1962年にかけては同議会の議長も務め、地域での影響力を強めていきました。

1962年、久保は第6回参議院議員通常選挙に出馬し、長崎地方区で初当選を果たしました。在任中には参議院文教委員長としての役割を担い、教育政策に寄与しました。その後、1970年に長崎県知事選挙に出馬し、元知事佐藤勝也との激しい選挙戦を繰り広げました。

当時の自民党県連は二分されており、佐藤が主流派の支持を受ける一方で、久保は地元の自民党国会議員のほとんどから支持を集めました。選挙結果は、久保が44万票、佐藤が21万票と、圧倒的な差をつけての勝利で、知事に就任することができました。

知事在任中の業績

長崎県知事としての任期中、久保は多くの重要プロジェクトに取り組みました。特に際立つのは、大村市箕島への長崎空港建設に関する彼のリーダーシップです。このプロジェクトは当初反対の声が強く、農家の説得には多くの困難が伴いましたが、久保は本土側に農地を提供することを約束し、移住する農家には専任指導員を付けるなど、手厚い支援を行いました。その結果、空港は1975年に開港し、地域の活性化に寄与することができました。

また、1978年には、放射線漏れ事故を起こした原子力艦「むつ」を佐世保港に受け入れる決断を下しました。被爆県にあたる長崎県でこの事業は多くの反対を受けましたが、知事は「核封印方式」を採用し、安全性を確保しました。さらに、「むつ基金」を創設し、長崎新幹線の早期完成に向けた交渉も行いました。

最後の年と影響

知事の3期目には健康を害し、車椅子を使用しながらも任期を全うしました。1982年には知事としての活動を終え、その後も地域振興への関与を続けました。春の叙勲では勲一等瑞宝章を受賞し、1993年11月23日、急性心不全のため、83歳でこの世を去りました。彼の死亡に伴い、従三位の位が追贈されました。

久保勘一は、長崎県の政治史において重要な存在であり、彼の政策やリーダーシップは今も語り継がれています。

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