久保千春

久保千春（くぼ ちはる）

プロフィール

久保千春は、1948年3月9日生まれの日本の医師、心療内科医、心身医学者です。医学博士の学位を持ち、第23代九州大学総長、日本心療内科学会理事長を歴任しました。

経歴

鹿児島県出身の久保は、鹿児島市立鹿児島玉龍高等学校を卒業後、1966年に九州大学医学部に入学しました。大学時代には、後にアフガニスタンで医療活動中に凶弾に倒れた中村哲と同級生でした。久保は、中村の葬儀で弔辞を読んでいます。

高校3年生の時に慢性腎炎を患い、約2ヶ月半の療養生活を送ったことが、医師を志すきっかけとなりました。特に腎臓病の解明と治療法の研究に情熱を燃やし、医学の道を志しました。大学入学後、食事療法と運動制限によって腎炎の症状は改善されました。

大学5年次には、池見酉次郎教授の心身医学講義を受講したことがきっかけで、心療内科医を目指すことを決意しました。当時、心療内科は医学的認知度が低く、周囲からは疑問視されることもありましたが、久保の決意は揺らぎませんでした。

九州大学卒業後は、心療内科の医局に入り、2年間の研修を経て、1975年からは九州大学医学部細菌学教室で免疫研究に取り組みました。1982年から2年間は、アメリカ合衆国に留学し、オクラホマ医学研究財団研究所でロバート・グッド教授の指導のもと、栄養と免疫・老化に関する研究を行いました。

1984年に帰国後、国立療養所南福岡病院内科医長に就任し、1988年に九州大学に戻り心療内科医として、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、過敏性腸症候群、摂食障害、緊張型頭痛、不安症やうつ病などのストレス関連疾患の診療と研究に尽力しました。1993年には九州大学医学部心身医学教授に就任しています。

2008年4月には九州大学病院の院長に就任し、2014年3月まで6年間務めました。院長退任後、九州大学を退官。2014年7月には、九州大学総長候補選考会議にて第23代総長に選出され、同年10月1日に就任し、2020年9月に退任しました。また、2016年には日本心療内科学会理事長、2019年には九州市民大学学長に就任。2020年10月からは中村学園大学学長を務めています。

主な著書

久保千春は、心身医学に関する多数の著書を執筆しており、その分野の知識普及に大きく貢献しています。

『心身症』（2013年、最新医学社）
『心身相関医学の最新知識』（2012年、日本評論社）
『心身医学標準テキスト第3版』（2009年、医学書院）
『心身症診断・治療ガイドライン2006』（2006年、協和企画）
『心因性難聴』（2005年、中山書店）
『皮膚心療内科』（2004年、診断と治療社）
『現代心療内科学』（2003年、永井書店）
『心身医療実践マニュアル』（2003年、文光堂）
『生活習慣病の予防・治療に役立つ心身医学』（2001年、ライフ・サイエンス）
『漢方の考え方と使い方』（1997年、光原社）
『自律神経失調症』（1996年、保健同人社）

研究と業績

久保千春は、心身医学の分野で数多くの研究を行い、その発展に大きく貢献しました。特に、ストレスと関連する疾患の病態解明と治療法の開発に尽力し、臨床医としても多くの患者の治療にあたってきました。また、心身医学の普及と教育にも力を注ぎ、後進の育成にも貢献しています。

外部リンク

総長室 - 九州大学

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