久保卓也

久保 卓也（くぼ たくや）

久保卓也は、日本の警察と防衛における重要な官僚であり、1921年12月31日に生まれ、1980年12月7日に亡くなりました。兵庫県武庫郡の出身で、数々の教育機関で知識を深めた後、1943年には東京帝国大学法学部を卒業しました。内務省に入省し、その数年後、海軍にて働くことになりました。戦後は長崎県警察や熊本・大分の警察部門での活動を経て、警視庁の幹部ポジションを経て、防衛庁における重要な役割も担いました。

警察官僚から防衛官僚へ

久保は、警察官僚としての経歴を経た後、1952年に保安庁保安局に出向しました。彼の警察での役割では、特に砂川事件の鎮圧に関与し、また「交通戦争」と呼ばれる時代に交通政策を推進し、スクランブル交差点や歩行者天国の導入を図りました。その後、彼は防衛安保の分野において重要な計画である第4次防衛力整備計画を策定しました。彼は「ミスター防衛庁」とも称され、その名前は広く知られることとなります。

防衛力整備と基盤的防衛力

1970年代、国際情勢の緊張が少しずつ緩和される中、久保は日本の防衛力の理論的・体系的な整備を目指しました。彼は、従来の「所要防衛力」の考え方に対して疑問を持ち、日本独自の安全保障の枠組みを模索しました。久保は「基盤的防衛力」という新たな概念を導入し、それにより他国の軍事的干渉を抑止するための最小限の防衛力の維持を提唱しました。この考え方は、国際政治の現実を反映したものであり、彼の理念は多くの反響を引き起こしました。

久保発言とその影響

1976年、久保は次官として記者会見を行い、国産の対潜哨戒機に関する発言が物議を醸しました。この発言は、田中角栄首相の指示を受けた国産化の方針が白紙に戻されたことを示唆しており、波紋を呼びました。この一連の騒動の後、久保は誤りを認め、謝罪をすることになりました。

積極的平和主義

退官後も久保の影響力は続き、1977年に「積極的平和主義」を提唱しました。この理念は国際的な安定や平和の創出を重視するもので、近年では日本の安全保障戦略として改良され受け入れられるようになりました。久保の考えは、今もなお日本の防衛政策や国防に関する議論に影響を与えています。

最後の日々

久保は1980年にガンによりこの世を去りましたが、彼の業績は防衛分野において未だに大きな意義を持っています。彼は正三位に叙され、二等授瑞宝章を受章しました。現代日本における防衛政策において彼の思想は根付いており、その先見性は高く評価されています。彼の著書も戦後日本の防衛や国際関係を考える上で重要な資料とされています。

もう一度検索