久宗睦子

久宗睦子（ひさむね むつこ）は、1929年1月28日に東京都文京区に生まれ、2015年9月10日にその生涯を閉じた日本の詩人です。

台湾高雄市の第一高等女学校を卒業後、詩作の道に進みました。久宗睦子の詩人としての本格的な活動は、1982年に最初の詩集となる『春のうた』を山の樹社から上梓したことに始まります。

以降、実に精力的に詩集を発表し続けました。1990年には『風への伝言』（近文社）を刊行。この詩集は女声合唱曲としても編曲され、音楽之友社から出版されています。続いて、1992年に『末那の眸』（土曜美術社出版販売）、1994年に『鹿の声』（本多企画）、1998年に『薔薇薔薇のフーガ』（潮流社）、2001年に『千年ののち』（本多企画）と、着実に作品集を重ねていきます。2004年には『絵の町から』（本多企画）を刊行し、これは同年の日本詩人クラブ賞および第12回丸山薫賞の候補作品となるなど、高い評価を受けました。そして、2012年にはこれまでの詩業を集大成した『新・日本現代詩文庫99 久宗睦子詩集』（土曜美術社出版販売）が出版され、その功績が改めて称えられています。

詩作活動と並行して、詩壇の発展にも深く関わりました。詩誌「山の樹」や「木々」に同人として参加。さらに、1989年には春木節子らと共に詩誌「馬車」を創刊し、現在に至るまで発行を継続、多くの新しい詩人を世に送り出す育成者としての役割も果たしました。「馬車」は、その活動が評価され、2009年には全国詩誌「詩と思想」の同人誌群像として取り上げられました。

個人の活動としては、1995年の第10回国民文化祭とちぎにおいて、詩作品「水族館」が栃木県教育委員会委員長賞を受賞しています。また、2005年には詩誌「詩と思想」の全国同人誌評の執筆を担当するなど、批評の分野でも活動しました。

久宗睦子は、日本現代詩人会および日本文藝家協会の会員として、詩壇の中心的な存在の一人として活躍しました。多くの優れた詩集を残し、詩誌の創刊・運営を通じて後進の育成にも尽力するなど、現代詩の発展に多大な貢献をした詩人と言えます。

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