久居陣屋

久居陣屋の歴史

久居陣屋（ひさいじんや）は、江戸時代の初めから明治時代の初期にかけて存在した久居藤堂氏の陣屋で、現在は歴史的な遺構として知られています。江戸時代中期、津藩の藤堂高次が隠居し、家督を藤堂高久に譲った際、高久の弟である藤堂高通が5万石を受け継ぎ、久居藩が設立されました。これは津藩が後継者不在となる事態に備えたもので、久居藩はその後の行政や政治の中心となりました。

陣屋の築城と城下町の発展

寛文9年（1669年）、久居藩の初代藩主となった藤堂高通は、江戸幕府からの承認を受け、南部の野辺野に陣屋を築くことを決定しました。陣屋の位置は、雲出川を見下ろす高台にあり、その地形を生かした土塁や内堀の構造が設けられました。居住空間となる奥御殿を中心に、北側には米蔵、北西側は土塁に囲まれ、南側は急峻な崖によって防衛されていました。町の東側には大手門があり、全体的に堅固な構えを持った陣屋となっていました。ただし、江戸幕府からの許可がなかったため、土塁に沿った内堀は正式には溝と呼ばれていました。

城下町の建設も進められ、江戸からやって来た家臣たちには貸下げ金が支給され、新たに移住してきた町民には宅地と2反歩の菜園が無償で与えられ、発展が促されました。町割りは陣屋の東と北に武家屋敷が配置され、これらを囲む形で総構えの外堀が設けられ、その外側には町民の居住区が広がっています。

久居の町の栄光

陣屋と城下町の完成は寛文11年（1671年）には達成されており、当時は武家屋敷200戸、町屋100戸と、大規模な町として発展していました。久居は交通の要所としての地理的特性を活かし、後には500戸の町屋が並ぶ旅籠町として栄え、商人の町としてもその名を知られるようになりました。特に、四日市追分の鳥居を建設した渡辺六兵衛など、多くの著名な商人が輩出されました。今でも久居は、観光の拠点として伊勢自動車道と国道165号線の接続点として賑わっています。

現在の久居陣屋

しかし、明治維新を迎えると、武士の時代が終焉を迎え、久居陣屋も取り壊されることになりました。その後、陣屋の跡地は公園として整備されたり、中学校の施設の一部として活用されたりしており、明瞭な遺構は少なくなりましたが、当時の空堀だけが今も現存しています。公園には久居開府の碑が立ち、訪れる人々にその歴史を伝えています。

関連項目

• - 藤堂高通
• - 久居藩
• - 久居市

このように、久居陣屋は歴史の中で重要な役割を果たし、現在も多くの人々に愛され続けています。

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