久居市

久居市：豊かな自然と歴史が織りなす三重のまち

2006年1月1日、三重県津市をはじめとする10市町村の合併により、久居市は津市に編入され、その歴史に幕を閉じました。本記事では、合併前の久居町時代を含め、久居市の概要、歴史、文化、そして自然について詳細に解説します。

豊かな自然：青山高原と榊原温泉

久居市は、三重県中勢地域に位置し、自然豊かな環境に恵まれていました。特に有名なのは、市西部に広がる青山高原です。若狭湾と伊勢湾を繋ぐ地峡部に位置するこの高原は、周囲の山地と比べて標高が低いため、日本海と太平洋を繋ぐ風の通り道となっています。この安定した強風を利用して、24基もの風力発電設備が稼働する大規模な風力発電所が建設され、日本有数の規模を誇ります。

また、久居市には、古くから名湯として知られる榊原温泉があります。清少納言の『枕草子』において、有馬温泉、玉造温泉と並んで日本三名泉の一つに数えられている由緒ある温泉です。その歴史と効能から、多くの観光客を惹きつけてきました。

市域を流れる雲出川と榊原川も、久居市の自然環境を彩る重要な要素です。これらの河川は、農業用水や生活用水として利用され、久居市の発展に貢献してきました。

歴史と文化：久居城と久居梨

久居市名の由来は、1670年（寛文10年）、津藩主・藤堂高虎の孫である佐渡守・高通が、宗家から分かれて久居藩を設立したことにあります。「永久鎮居」の意を込めて名付けられた地名です。

久居市の歴史は古く、久居城跡や久居陣屋跡、久居八幡宮などの歴史的建造物が残されています。また、キリシタン灯籠や子午の鐘などの史跡も点在し、久居市の歴史と文化を物語っています。

久居市は農業が盛んであり、特に梨栽培が有名でした。1907年（明治40年）、青年団の活動として始まった梨栽培は、1970年代には30ヘクタールまで拡大し、長十郎や幸水などの品種が生産されていました。その多くは三重県内や愛知、大阪などの市場に出荷されていました。

行政と経済：交通の利便性と発展

久居市は、近畿日本鉄道名古屋線が走り、久居駅を中心に発展しました。交通の利便性から、近年では企業の立地も進み、農業に加え、工業都市としての側面も持ち合わせていました。

久居市には、陸上自衛隊久居駐屯地や航空自衛隊笠取山分屯基地などの国の施設もありました。また、国立病院機構三重中央医療センターや国立療養所久居病院も設置され、医療面でも重要な役割を果たしていました。

教育と文化施設：充実した教育環境と交流

久居市には、三重県立久居高等学校、三重県立久居農林高等学校など、多くの学校がありました。教育機関の充実によって、地域の人材育成に貢献していました。また、姉妹都市として山口県周南[[市]]と友好都市関係を築き、文化交流を盛んに行っていました。

交通：アクセスと道路網

久居市は、近鉄名古屋線と伊勢自動車道久居ICによって、交通の利便性に恵まれていました。市内の主要道路としては、国道165号、三重県道15号久居美杉線、三重県道24号松阪久居線などが整備され、地域間の交通を支えていました。

観光：名所旧跡とイベント

久居市には、榊原温泉や青山高原ウィンドファームなどの観光スポットの他、室生赤目青山国定公園などの自然豊かな場所も存在します。また、地元の祭事やイベントも盛んであり、年間を通して様々な催しが行われていました。

まとめ：未来へ繋がる歴史と記憶

久居市は、豊かな自然、歴史、そして人々の温かさで彩られたまちでした。合併により、久居市としての行政は終了しましたが、その歴史と文化、そして人々の記憶は、津市、ひいては三重県全体の貴重な財産として受け継がれています。 かつての久居市に関わる資料は、三重県立図書館などに一部所蔵されています。 久居市出身者の中には、上野英三郎氏（忠犬ハチ公の飼い主）など著名人も多く輩出しており、その功績は現在も語り継がれています。

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