久布白落実

久布白 落実について

久布白 落実（くぶしろ おちみ、1882年12月16日 - 1972年10月23日）は、日本の女性解放運動および廃娼運動における重要な活動家です。彼女は戦前から戦後にかけて、女性の権利向上や社会的な問題への取り組みに尽力しました。婦選獲得同盟の総務理事としても知られています。

生い立ちと教育

落実は、熊本県鹿本郡に生まれ、牧師である父大久保真次郎と母音羽のもとで育ちました。彼女の父は日系移民のためにアメリカで教会を設立し、彼女自身も小さい頃から信仰のもとで育まれました。女子学院高等科を卒業後、両親と共にアメリカへ渡り、そこでの経験が彼女の人生に大きな影響を与えました。

活動の開始

1906年のサンフランシスコ地震後、落実は被災者の支援活動に従事しながら、日本から移民した娼婦たちが困難な生活を送っている現状を目の当たりにしました。この体験が彼女の心に強い印象を残し、廃娼運動に対する情熱を芽生えさせました。米国太平洋神学校在学中に久布白直勝と出会い、結婚後はシアトルでしばらく生活しましたが、1913年に夫と共に日本に帰国しました。

日本での活動

帰国後、落実は夫と共に教会で牧師として活動しながら、廃娼運動にも積極的に参加しました。1924年には東京連合婦人会の政治部を母体として、女性参政権を求める「婦人参政権獲得期成同盟会」を設立し、彼女はその総務理事に就任しました。翌年には、男性の普通選挙法が成立し、その後「婦選獲得同盟」として改称されました。この運動は、女性の権利を主張する重要な挑戦でした。

同時に廃娼運動の推進にも力を入れ、1916年に飛田遊郭の開設に反対する運動を行いましたが、十分な成果を上げることはできませんでした。それでも、彼女は住吉公園遊郭の取り消し請願や吉原遊郭の再建反対運動にも取り組みました。

戦後の活動

1946年、彼女は東京都第2区から自由党公認で衆議院議員総選挙に出馬しましたが、残念ながら落選。1947年には参議院選挙に挑戦するも再度の落選を経験しました。彼女はその後、売春禁止法制定促進委員会の委員長として活動し、1956年に施行された売春防止法の制定に寄与しました。

さらに、1966年には83歳で日本基督教団正教師試験に合格し、1972年にはキリスト教功労者として表彰を受けました。彼女の生涯を通じた功績は多岐にわたり、藍綬褒章や勲三等瑞宝章を受章するなど、その影響力は計り知れません。

家族

落実の家庭は宗教的な背景もあり、彼女の父が源流となる家庭教育が施されていました。特に、彼女の母も女性問題に関心を持ち、家族全体が彼女の活動を支える存在でした。夫の久布白直勝もまた牧師であり、二人は共に信仰を深め、様々な活動に取り組みました。彼女の子供たちも、その影響を受け、家庭内でも活発な議論が行われたと考えられます。

まとめ

久布白落実の生涯は、日本における女性の権利と社会的な問題への取り組みを象徴するものであり、彼女の功績は多くの人々にインスピレーションを与え続けています。彼女の活動は、今なお日本の女性解放運動における重要な歴史の一部として語り継がれています。彼女は影響力のある活動家として、自らの信仰と社会に対する強い責任感をもって時代を切り開いた女性でした。

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