久御山ジャンクション

久御山ジャンクションとは

久御山ジャンクション（くみやまジャンクション）は、京都府久世郡久御山町に設けられた高速道路の重要な分岐点です。主に、南北方向を走るE89 第二京阪道路と、東西方向を結ぶE88 京滋バイパスがここで接続しています。

構造と機能

このジャンクションは、複数の方向への転換を円滑に行うため、複数の車線が高架で立体的に交差する複雑な構造を採用しています。特に、完全なタービン型という形式が特徴的です。これは、すべての方向転換ランプが右回りにカーブを描きながら接続する構造で、広大な敷地を必要としますが、比較的設計速度を高く保ちやすいという利点があります。

具体的には、E89 第二京阪道路が地表から数えて2階部分を、E88 京滋バイパスが3階部分を通っています。その下の地上部分では、国道1号のバイパス（一般部）同士が平面交差しており、昼夜を問わず交通量の多い地域の中核的な交通結節点としての役割を担っています。

久御山ジャンクションは2003年3月にその供用を開始し、京阪間や京都・滋賀間の広域交通ネットワークにおいて重要な役割を果たしています。

周辺の接続状況

久御山ジャンクションに接続する各路線の前後のインターチェンジやジャンクションは以下のようになっています。

E89 第二京阪道路
巨椋池IC (1) → 久御山JCT (2) → 八幡東IC (4)
※久御山南IC (3) は、第二京阪道路の枚方東方面への入口と、枚方東方面からの出口のみを持つハーフインターチェンジであるため、久御山JCTから南方向（枚方東方面）へ進んだ場合の次の出口は八幡東ICとなります。

E88 京滋バイパス
宇治西IC (5) → 久御山JCT (2) → 久御山淀IC (8)
※京滋バイパスに関しては、久御山JCTの東側に巨椋IC (6) と久御山IC (7) がありますが、それぞれハーフインターチェンジです。巨椋ICは瀬田東方面への入口・出口のみ、久御山ICは大山崎方面への入口・出口のみのため、久御山JCTから東西いずれかの方向へ進んだ場合、次の出口はそれぞれ宇治西IC（西方向）または久御山淀IC（東方向）となります。

特筆すべきエピソード：映画ロケ地として

この久御山ジャンクションが、その供用開始を間近に控えた2003年3月、ある有名な映画のロケ地として使用された特別な歴史を持っています。それは、同年7月に公開された劇場用映画『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』です。

映画のクライマックスシーンで象徴的に描かれるレインボーブリッジ。その代わりとなるロケーションとして、当時未開通で広大な敷地を持つ大規模なジャンクション構造は、全国を探しても久御山ジャンクション以外には見当たらなかったと言われています。その複雑な曲線を描く構造が、都市の象徴であるレインボーブリッジを彷彿とさせたのです。

特筆すべきは、通常では考えられない「供用前の自動車専用道路の貸し切り」が実現した経緯です。撮影チームが当時の日本道路公団に協力を依頼した際、偶然にも関西支社の担当責任者の一人が「踊る大捜査線」シリーズの大ファンであることが判明しました。この担当者の熱意により、異例ともいえる依頼は快諾され、さらには撮影に使用する場所の工事を前倒しで行うといった全面的なバックアップ体制が敷かれたのです。

実際に映画をご覧になった方の中には、ジャンクションの背景に小さく写り込んでいる当時の「ジャスコ久御山ショッピングセンター」（現在のイオンモール久御山）の看板や、実際のレインボーブリッジ周辺には存在しないはずの「山の影」に気づかれた方もいるかもしれません。本広克行監督は、これらの描写をあえて残した理由として、「どのくらいの人が気づくか試すため」と同時に、「フィクションであることを示すため」と語っています。また、この異例の撮影協力を惜しまなかった日本道路公団への感謝の気持ちも込められていたとのことです。

さらに、久御山ジャンクションやその周辺の京滋バイパスは、2017年に公開された日本映画『ごはん』においても背景として登場しています。この映画は、ジャンクションの北東に広がる巨椋池の干拓によって生まれた水田地帯を中心に撮影されており、地域の風景の一部としてジャンクションが捉えられています。

このように、久御山ジャンクションは単なる高速道路の結節点としてだけでなく、日本の大ヒット映画の舞台裏を支えた場所としても、その名が記憶されるユニークな存在です。

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