久木田紳吾

久木田 紳吾



1988年9月24日、熊本県熊本市に生まれた久木田紳吾氏は、異色の経歴を持つ元プロサッカー選手です。主にディフェンダーおよびフォワードとしてプレーしました。

アマチュア時代



幼少期からサッカーに親しみ、小学校3年次には本格的に競技を開始。地元・熊本県立熊本高等学校へ進み、高校時代は県大会で最高ベスト8まで進出しました。

高校卒業後、久木田氏は東京大学へ入学。教養学部理科二類を経て、三年次からは工学部都市工学科都市計画コースで学業に励む傍ら、大学でもサッカーを続けました。東京大学入学式で、情報学研究科教授（当時）の福島智氏が語った「誰も挑戦したことのないことに、挑戦することに価値がある」という言葉に深く感銘を受け、この言葉に背中を押される形で、前例のない「東京大学出身初のJリーガー」となることを本気で目指すと公言しました。

大学ではア式蹴球部に所属し、4年次の2010年にはチームの主将を務めます。同年には大学東京都選抜にも選出されるなど、選手として高いレベルを目指しつつ、卒業後のJリーグ入りを実現するため、自らのプレーを収めたDVDを作成し、各プロクラブへ積極的に送付するなど、多角的なアピール活動を展開しました。

プロキャリア



こうした熱意あるアピールが実を結び、J1およびJ2リーグに所属する計4クラブから練習参加の機会を得るに至ります。その中で、ファジアーノ岡山から正式な獲得オファーを受けることに成功。これにより、久木田氏はファジアーノ岡山にとってクラブ史上初となる特別指定選手として登録され、翌2011シーズンからの正式入団が決定しました。

プロ1年目の2011シーズン、久木田氏は主に途中出場から試合の流れを変えるスーパーサブとして存在感を発揮します。7月3日の愛媛FC戦でプロ初得点を記録するなど、シーズンを通じてリーグ戦27試合に出場し4得点を挙げました。特に、最終節となった12月3日の徳島ヴォルティス戦では、試合終了間際の後半アディショナルタイムに決勝ゴールを挙げ、結果的に相手チームである徳島のJ1昇格を阻む劇的な展開を演出し、大きな注目を集めました。

2012シーズンは松本山雅FCへ期限付きでの移籍を経験します。新たな環境での活躍が期待されましたが、残念ながら怪我の影響もあり、公式戦出場は7試合にとどまりました。

2013シーズンにはファジアーノ岡山へ復帰。再び岡山の地でプレーを続けました。この時期、2013年6月6日にはフリーアナウンサーの上杉桜子氏と結婚しています。岡山復帰後もチームに貢献しましたが、在籍期間中、特に2016シーズンは右アキレス腱断裂という重傷に見舞われ、リーグ戦での出場機会を得ることができませんでした。

2018シーズン、久木田氏はザスパクサツ群馬へ完全移籍。ポジションをディフェンダーに転向し、新たな挑戦の場を求めました。

現役引退、そしてセカンドキャリアへ



2019年12月11日、久木田氏はそのシーズン限りでの現役引退を発表。プロサッカー選手としてのキャリアに幕を閉じました。引退後の2020年4月からは、IT企業であるSAPジャパン株式会社に入社し、新たなキャリアをスタートさせています。

久木田紳吾氏は、東京大学からプロサッカー選手になるという、極めて異色の道を切り拓いたパイオニアです。文武両道を体現し、自らの目標達成のために計画的に行動し、夢を実現させたそのキャリアは、多くの人々に影響を与えました。ファジアーノ岡山での活躍や、松本山雅FC、ザスパクサツ群馬での挑戦を経て、プロ選手としての道を全うし、現在はビジネスの世界で活躍しています。

所属クラブ


個人記録


選抜歴

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