久松定成

久松定成の生涯

久松定成（ひさまつ さだなり）は、1926年10月4日に東京府で生まれ、2008年4月3日に心不全のため81歳で逝去しました。彼は、農学者、昆虫学者として、特に甲虫類の分類研究において多大な貢献をしました。愛媛大学農学部で長年にわたり教鞭を執り、多くの研究者を育成しました。

生い立ちと学歴

成蹊小学校、陸軍幼年学校、陸軍予科士官学校を経て、陸軍航空士官学校在学中に終戦を迎えました。戦後、学習院大学文政学部政治学科と愛媛県立松山農科大学農学科（現在の愛媛大学農学部）を卒業しました。この経歴は、彼の幅広い知識と多岐にわたる関心を物語っています。

研究者としての業績

愛媛大学農学部では、教務員、文部教官助手、講師を経て、1991年10月から環境昆虫学研究室の第4代教授に就任しました。1992年3月に定年退官するまで、甲虫類の分類学的研究を精力的に行いました。1991年12月には、東京農業大学から「日本産コメツキダマシ科の分類学的研究」で農学博士号を取得。日本昆虫分類学会会長も務め、学会の発展にも尽力しました。

社会活動

久松定成は、研究活動だけでなく、社会活動にも積極的に参加しました。社団法人愛媛県華道会会長、靖国神社崇敬奉賛会会長（第2代）、伊豫豆比古命神社（椿神社）崇敬会会長、日本会議愛媛県本部会長、伊予つばき協会会長、四国桜友会会長など、多岐にわたる役職を歴任しました。また、松山ロータリークラブ会員としても地域社会に貢献しました。

家族

久松家は、徳川家康の異父弟である松平（久松）定勝を祖とし、その子孫は伊予松山藩主を務めました。久松定成は、その20代目にあたります。父方の祖母が島津忠義の七女・貞子であることから、香淳皇后の従甥にあたります。父・久松定武は、貴族院議員、参議院議員、愛媛県知事を務めた政治家でした。祖父・久松定謨は、フランスのサン・シール陸軍士官学校を卒業し、陸軍中将となりました。

著書

久松定成は、多くの著書を執筆・共著しました。その中には、『石鎚山系の自然と人文』、『原色日本昆虫大図鑑III』、『学芸百科辞典 鞘翅目』、『学研中高生図鑑 昆虫III』、『原色日本甲虫図鑑 (II)』、『原色日本甲虫図鑑 (III)』などがあります。これらの著作は、昆虫学の研究において重要な参考文献となっています。

死去

久松定成は、2008年4月3日に心不全のため、愛媛県松山市の自宅で息を引き取りました。彼の遺志は、多くの研究者や関係者に受け継がれています。

まとめ

久松定成は、農学者、昆虫学者として、甲虫類の分類研究に尽力し、数多くの著書を執筆しました。また、教育者として後進の育成に努め、社会活動にも積極的に参加しました。彼の業績は、日本の学術界と社会に大きな足跡を残しています。

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