久板栄二郎

久板栄二郎とは

久板栄二郎（ひさいた えいじろう）は、1898年7月3日に宮城県名取郡岩沼町（現在の岩沼市）で生まれた、日本の著名な劇作家および脚本家です。彼は東京帝国大学の国文科を卒業し、在学中からプロレタリア演劇運動に参加していました。この活動を通じて、初期の戯曲を数多く執筆し、演劇界に新風を吹き込みました。特に1934年に設立された新協劇団に参加し、次々と優れた作品を発表しました。

生涯と業績

久板は1935年に「断層」を発表し、その後も「北東の風」や「千万人と雖も我行かん」などの作品を発表。これらの作品は、当時の社会状況や人々の心理を反映したものであり、彼の才能を広く知らしめました。しかし、第二次世界大戦後の1950年には、連合国軍最高司令官総司令部の指令によるレッドパージの影響を受け、映画業界から追放されることとなります。それでも、彼は映画のシナリオ執筆を続け、戦後の代表作である「巌頭の女」（1952年）を含む数多くの作品を残しました。彼の墓所はさいたま市の青葉園にあります。

著作一覧

久板栄二郎は数多くの著書を持ち、演劇の発展に寄与してきました。主な著作には以下のようなものがあります：

• - 『演劇運動の新らしき発展のために』(1934年、池田生二との共著)
• - 『北東の風・断層』(1937年)
• - 『千万人と雖も我行かん』(1938年、武藤山治伝)
• - 『神聖家族』(1939年)
• - 『久板栄二郎シナリオ集』(1947年)
• - 『久板栄二郎選集 第1』(1949年)
• - 『久板栄二郎一幕劇集』(1958年)
• - 『久板栄二郎戯曲集』(1972年)
• - 『伊達騒動』(1972年)
• - 『藤原三代記 森と黄金と川』(1975年)

映画への影響

久板は劇作だけでなく、映画の脚本執筆にも力を入れ、多くの名作を世に送り出しました。彼が関与した主な映画作品には、以下のものがあります：

• - 「決戦」（1944年、監督：吉村公三郎・萩山輝男）
• - 「間諜海の薔薇」（1945年、監督：衣笠貞之助）
• - 「大曾根家の朝」（1946年、監督：木下惠介）
• - 「わが青春に悔なし」（1946年、監督：黒澤明）
• - 「女優」（1947年、監督：衣笠貞之助）
• - 「白痴」（1951年、監督：黒澤明）
• - 「天国と地獄」（1963年、監督：黒澤明）

これらの作品は日本映画の重要な一部を形成しており、彼の豊かな創造性がいかに映画にも影響を与えたかを物語っています。久板栄二郎は、演劇と映画の双方でその名を轟かせた、日本の文化において欠かせない存在となっています。

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