久米田池

久米田池（くめだいけ）

久米田池は、大阪府岸和田市池尻町・岡山町に位置し、久米田寺の南東に広がる大阪府内最大級の広さを持つ灌漑用ため池です。三方を自然の台地に囲まれ、残る一方に堤防を築いて造られました。池の中央部には旧春木川の川床が残り、この川を堰き止める形で造成されたことが分かります。

名称の由来は諸説あり、「八木」が転じた「粂」からとする説や、池を指す古語「籠田（込田）」（田に水を籠める意味）から転じたとする説があります。

歴史

725年、聖武天皇の命を受けた行基によって開削が始まり、738年に14年の歳月をかけて竣工しました。聖武天皇は久米田寺に池の維持管理を命じ、寺の院号を「隆池院」としました。その後、久米田寺が管理を行い、1289年と1361年に堤の修理が実施されました。

戦国時代に入ると久米田寺の管理を離れ、池尻、中井、箕土路など周辺12か村による「久米田池郷」が結成され、灌漑用水を管理しました。1957年には久米田池郷が改組され、土地改良法に基づく久米田池土地改良区が発足し、現在に至ります。

2010年には農林水産省の「ため池百選」に選定され、2015年には国際かんがい排水委員会による「かんがい施設遺産」にも登録されました。

自然

久米田池は、年間100種類以上の野鳥が飛来する野鳥の楽園として知られています。特にカモ類は、10月後半に数日の間に数千羽が中国大陸から飛来します。また、シギ・チドリ類は遠くカムチャッカ半島から飛来し、南半球のオーストラリアへと渡っていきます。

過去には特別天然記念物のナベヅルが2005年11月から2ヶ月間滞在したり、2011年1月にはコウノトリが飛来したりするなど、珍しい野鳥の観察記録もあります。コウノトリは2012年10月にも再び飛来しました。

また、絶滅危惧種であるカワチブナの養殖も行われており、貴重な生態系が守られています。

水利

配水施設

久米田池には、牛滝川から取水するための取水口が設けられており、栄川を経て池に水が流れ込むようになっています。かつては春木川からも取水していたと考えられていますが、現在は使用されていません。

池には一番樋から三番樋、そして裏樋といった配水施設が設けられており、主に農業用水として利用されています。

排水施設 (余水吐)

池の水位が一定以上になると、余分な水を排出する余水吐が設けられています。排水された水は、隣接する刈又池へと流れ込みます。

交通

JR西日本阪和線 久米田駅から南東へ徒歩約1km
南海本線 岸和田駅より南海ウイングバス「池尻」下車、南西へ徒歩約300m

参考文献

玉谷, 哲『岸和田市水利調査』玉谷哲、1962年。
「角川日本地名大辞典」編纂委員会／編『角川日本地名大辞典 27：大阪府』角川書店、1983年。
『日本歴史地名大系 28−2：大阪府の地名』平凡社、1986年。
根来栄隆、荒木勇『久米田池郷の歴史』久米田池土地改良区、1998年。

関連項目

ため池百選

外部リンク

久米田寺周辺地図/Yahoo!地図情報
* ため池百選 - 農林水産省

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