久野工

久野 工（ひさの たくみ）の生涯

久野工は、1874年11月10日に高知県土佐郡久万村に生まれました。彼は旧土佐藩士の家系に生まれ、仲間を集める特性がありました。1891年に高知県尋常中学を卒業後、明治法律学校に入学し、法律の学びを深めましたが、そこでの学びは短期間に終わります。

1896年には海軍少主計候補生に任命され、佐世保海兵団や佐世保鎮守府での経験を重ねました。彼は海軍内でのキャリアを順調に積み重ね、1905年には海軍主計少監に昇進し、英国に派遣されるなどして、国際的な視野を広げていきます。彼の業務には、会計監視や経理施策の立案も含まれており、この背景が後の政治活動に大きく貢献しています。

1913年には海軍省経理局員に任じられ、さらに海軍経理学校の教官としても活動しました。その後も彼は急速に昇進していき、1919年には海軍主計少将に昇進し、経理局第一課長としての任を負い、舞鶴や横須賀での経理部長を歴任しました。この時期、彼の計画力や指導力がいかんなく発揮され、彼は海軍内で重要な役割を果たすことになります。

1923年には海軍主計中将に進級し、同時に軍令部に出仕しますが、次第に海軍を退き、次のキャリアの第一歩を踏み出すことになります。民間企業にも参画し、高知鉄道や藤永田造船所で重役を務め、その後1938年には横須賀市長に任命されます。市長として彼の運営は多くの市民に支持されましたが、1941年には辞任しています。

第二次世界大戦後、彼は思わぬ形で公職追放に遭遇しました。彼自身の影響力をもってしても、戦後の政治状況は非常に複雑であったため、彼の政治活動は困難を極めました。1960年6月3日に彼は85歳で亡くなります。彼の墓所は、神奈川県藤沢市および高知市の小高坂山にあるとされています。

家族と伝記

久野工には多くの親族が存在し、特に長女の知子は高千穂学校の校長を務めており、彼女の結婚相手は川田鉄弥の次男です。また、彼の岳父は高知県の農業に従事し、多額の税金を納める人であった森田伊織です。

彼の生涯を辿った伝記としては、1990年に山口立編によって書かれた『海軍主計中将久野工』があります。この伝記は彼の業績や人物像を深く掘り下げており、貴重な情報源となっています。

久野工の存在は日本の海軍や政治、そしてベンチャー企業において重要な役割を果たしました。彼の業績は今も多くの人々の記憶に残り続けています。

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