久野氏

久野氏の歴史と系譜

久野氏（くのし）は、日本の氏族の一つで、特に遠江国に起源を持つことが知られています。その名はさまざまに表記されることがありますが、久努氏や久奴氏とも呼ばれることがあります。ここでは、その歴史や背景、そして系譜について詳しく見ていきます。

出自と家系

一般的に、久野氏の起源は鎌倉時代に遡るとされています。その始まりは工藤清仲の子、久野宗仲が遠江国の久野に住み着いたこととされています。しかし、この系譜については確固たる証拠がなく、藤原南家為憲流であるという伝承も存在します。また、物部氏同族説や秦氏流とも言われることがあります。

『姓氏家系大辞典』によると、久野氏の先祖は物部氏の末裔であり、久努国造の子孫であるとの記載があります。これらの出自に関する議論は今も続いており、明確な結論には至っていません。

歴史的役割

久野氏は代々、今川氏に仕官してきました。特に戦国時代には、いくつかの重要な戦いにも関与しています。宗隆が明応年間に久野城（現在の静岡県袋井市）を本拠地とした際、家族の元宗や宗経が桶狭間の戦いにおいて討死しました。その後、一族の宗能は今川氏から離れ、徳川家康に従うことを決意しました。

宗能は数々の戦で功績を挙げ、天正18年（1590年）には徳川家康が関東に移封された際に、下総国佐倉藩として1万3,000石を与えられました。彼の嫡子、宗朝は、京で将軍徳川秀忠に仕官していた際に同じ家臣を殺害し、改易の処分を受けました。この際、宗能は隠居し、旧領を取り戻し、関ヶ原の戦いの後には8,500石を賜りました。

その後、宗能の次男、宗成が家を継ぎ、紀州藩の家老となります。元和5年（1619年）には田丸城代として1,500石の加増を受けると共に、伊勢国田丸領の管理を行うようになりました。久野氏はその後も家系を続け、明治維新を迎えましたが、またも運命に翻弄されることとなります。

明治時代の変遷

明治維新後、久野氏は士族としての扱いを受けました。慶応4年8月には、久野純固が紀州藩から独立し、朝臣に列したいと請願書を提出しましたが、相次ぐ不許可に終わります。久野家は万石以上の陪臣家であったものの、華族の男爵には典型的に分類されませんでした。

明治17年（1884年）には、華族が五爵制へ移行する中で久野家が男爵候補に挙げられましたが、最終的には叙爵を受けることはありませんでした。明治39年にも華族編列の請願を行うも、結局は失敗に終わっています。

まとめ

久野氏は日本の歴史の中で多くの重要な出来事に関与してきた氏族です。近世から近代にかけての彼らの変遷は、日本の歴史を知る上で非常に興味深いものとなっています。現在もその歴史は研究の対象となっており、今後の研究に期待が寄せられています。

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