田丸城

田丸城：南北朝時代から江戸時代を繋ぐ歴史の要衝

田丸城は、三重県度会郡玉城町に位置する平山城です。その歴史は南北朝時代に遡り、南朝方の拠点として北畠親房、北畠顕信によって築かれたと伝えられています。伊勢神宮を抑える戦略的要衝として、幾度となく争奪戦が繰り広げられました。

歴史

1342年（康永元年）には足利尊氏によって落城しますが、室町時代には伊勢国司となった北畠氏によって再建されます。北畠氏の庶流である田丸氏が城主となり、戦国時代には田丸直昌が織田信長の伊勢侵攻に伴い、織田信雄に田丸城を明け渡しました。

信雄は田丸城を居城として1575年（天正3年）に大改築を行い、三層の天守を備えた近世城郭へと生まれ変わらせました。田丸城は織田氏の伊勢支配の中心拠点となりましたが、1580年に火災で天守を焼失。信雄は松ヶ島城へと移ります。

その後、小牧・長久手の戦いを経て蒲生氏郷の支配下に入り、江戸時代初頭には稲葉道通が田丸藩を立藩。稲葉氏の転封後には藤堂氏の支配地となり、最終的には紀州徳川家の所領となりました。

紀州徳川家の成立に伴い、付家老の久野宗成が田丸城城主となり、田丸領6万石を領しました。久野氏は和歌山城城下に居を構え、一族を城代として田丸城の政務を執らせ、明治維新まで八代続きました。

江戸時代の名奉行・大岡忠相が山田奉行時代には、天領（山田領）と紀州藩田丸領の争いの舞台ともなりました。

2017年（平成29年）には、続日本100名城（154番）に選定されています。

遺構

明治維新に伴い、田丸城の建造物の多くは取り壊されましたが、天守台や石垣、外堀、内堀、堀切、空堀などの遺構が今も残っています。移築されていた富士見門や三の丸の奥書院も再度移築され、往時の面影を偲ぶことができます。

田丸城は、織豊系の近世城郭と南北朝時代の中世城郭の遺構を併せ持つ、非常に興味深い城郭です。

アクセス

東海旅客鉄道（JR東海）参宮線田丸駅から徒歩10分
三交伊勢志摩交通（バス路線）伊勢玉城線田丸城跡（玉城町役場前）バス停下車すぐ

田丸城は、その歴史的価値と美しい景観から、多くの観光客に親しまれています。春には桜が咲き誇り、花見客で賑わいます。歴史好きはもちろん、自然を楽しみたい方にもおすすめのスポットです。

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