久野節

久野節：日本の近代建築を支えた技師の生涯

久野節（くの みさお、1882年2月21日 - 1962年8月7日）は、日本の近代建築史において重要な役割を果たした建築家です。明治15年（1882年）、大阪府堺市に、元岸和田藩士の長男として誕生しました。

東京帝国大学建築学科卒業という輝かしい経歴を持つ久野は、卒業後の1907年から千葉県技師としてキャリアをスタートさせます。その後、1911年には鉄道省技師となり、中部鉄道管理局に勤務しました。

日本の鉄道建築発展に大きく貢献した久野の才能は早くから認められ、1920年5月には、鉄道省初代建築課長に就任。この重要なポストにおいて、日本の鉄道建築の近代化を牽引する役割を担いました。

その手腕は国内にとどまりませんでした。1924年には大連駅コンペの審査員を務め、さらに欧米への視察旅行に派遣され、海外の先進的な建築技術やデザインを学ぶ機会を得ています。この経験は、彼の建築家としての視座を大きく広げることになったと考えられます。

1926年には逓信省技師を兼務。同年3月には高等官二等に叙せられ、9月には中央諸官衙建築準備委員会幹事、12月には御大葬委員会工事部委員として、国家的な重要プロジェクトにも携わりました。

1927年には従四位に叙せられ、勲四等瑞宝章を受勲。同年、鉄道省を退官し、久野設計事務所を設立しました。事務所は1941年頃閉鎖されたとされていますが、その後も鉄道省嘱託として建築界に貢献し続けました。

晩年、1948年には旧知の戸田利兵衛氏（東京帝国大学卒業）の誘いを受け、戸田建設の相談役に就任。長年の経験と知識を生かし、後進の指導にも力を注ぎました。

1962年、80歳でその生涯を閉じました。久野節の功績は、日本の鉄道建築のみならず、近代建築全体の発展に大きな影響を与えたと言えるでしょう。彼の残した建築物、そして指導の下で育った建築家たちは、現在も日本の建築界を支えています。

久野節の足跡は、日本の近代建築史に深く刻まれた、重要な功績と言えるでしょう。

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