九〇式一号水上偵察機

九〇式一号水上偵察機

概要

九〇式一号水上偵察機は、1931年に日本海軍に正式採用された水上偵察機であり、その機体略号は「E3A」です。開発は愛知時計電機（後の愛知航空機）によって行われました。この機体は、巡洋艦からカタパルトで発射されることを前提として設計されており、一五式水上[[偵察機]]の後継機として位置づけられています。

開発には愛知と中島飛行機が競争しており、中島はアメリカのヴォート社の機体技術を国産化したのに対し、愛知はドイツのハインケル社から設計権を取得したHD-56をもとに国産化を進めました。またエンジンには瓦斯電製の「天風」エンジンを採用しています。原型機は1929年に完成し、その後の改良を経て、九〇式一号水上偵察機一型として制式採用されました。

性能と運用

しかしながら、装備された天風エンジンの出力が不足していたため、機体の速度やその他の性能には難がありました。このため、当時の他の機体と比較しても性能的には劣っていました。実戦において使用された結果、実用性の不足が明らかになり、わずか12機が生産された後に生産中止となりました。

一機は水上機の運用試験機として、駆逐艦「樫」に搭載され、さらに運用の実験が行われました。特に海上での運用に関しては、その制約が多かったため、実践向きの機体ではなかったことが多くの評価を受けています。

仕様

• - 全長: 8.45m
• - 全幅: 11.10m
• - 全高: 3.67m
• - 全備重量: 1,600kg
• - 最高速度: 199km/h
• - 乗員: 2名
• - 発動機: 瓦斯電　天風　空冷9気筒　300hp
• - 航続距離: 754km
• - 武装: 7.7mm機銃×2、爆弾60kg

関連項目

この偵察機の背景には、当時の偵察機や哨戒機の設計と運用の歴史があり、九〇式一号水上偵察機はその中の一つの試みとして注目されます。

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