九〇式二号水上偵察機

九〇式二号水上偵察機（E4N）

九〇式二号水上偵察機、略称「E4N」は、日本海軍によって1931年に正式採用された水上偵察機であり、中島飛行機によって開発されました。これは、一五式水上偵察機の後継機として設計され、製造権をアメリカのヴォート社から得たO2U コルセア観測機をベースに、国産化が進められました。

開発経緯

中島飛行機と愛知航空機の間で行われた競作の結果、中島はO2Uを国産化するという方針を選択しました。原型機のエンジンは、イギリスのブリストル社製のジュピターエンジンを用い、国産化した「寿」エンジンを搭載。機体の強化や艤装の海軍様式への変更が行われ、製品の完成度が高められました。これにより、昭和6年12月には九〇式二号水上偵察機二型（E4N2）として正式に採用されました。

一方で、九〇式二号水上偵察機一型（E4N1）は中島独自の設計による双フロート機でしたが、性能が単フロート機に劣ったため、わずか2機の試作にとどまりました。1機は民間に払い下げられ、三座機に改造されることで、別な用途で運用されました。

各型の概要

九〇式二号偵察機三型（E4N2-C）は、二型の単フロートを取り払ったもので、固定脚の車輪と尾橇によって陸上機に改造されています。この機体はO2Uの基盤を持つため、固定脚と単フロートの換装ができる設計になっていました。また、九〇式二号偵察機三型の設計を基に、中島式P-1郵便機も開発されました。

さらに、九〇式二号水上偵察機二型は改称され、運用上の流れも整理されました。九〇式二号艦上偵察機（E4N3）と名付けられた機体は、艦上爆撃機の運用研究や陸上基地との連絡任務に少数が使用され、特に多様な任務が求められました。

実戦における性能

九〇式二号水上偵察機は、その操縦性と実用性に優れ、多くの実戦部隊に好評を博しました。特に支那事変の初期には、海軍機として中国機との初空戦を果たし、敵機を撃墜するなどの成果を上げました。最終的には後継機である九五式水上偵察機に交替される形で退役しました。総生産数は152機に達し、その中の67機は川西航空機によって製造されました。

主なスペック

• - 機体名: E4N2（二型）
• - 全長: 8.86 m
• - 全幅: 10.976 m
• - 全高: 3.967 m
• - 全備重量: 1,800 kg
• - 自重: 1,252 kg
• - 主翼面積: 29.66 m²
• - 最高速度: 232 km/h
• - 乗員: 2名
• - 発動機: 中島 寿二型改一 空冷9気筒 580hp
• - 航続距離: 1,019 km
• - 武装: 7.7 mm機銃×2、爆弾60 kg

九〇式二号水上偵察機は、当時の海軍において重要な役割を果たし、その活躍が今も記憶されています。

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