九一色衆

九一色衆の歴史と役割

九一色衆（くいっしきしゅう）は、甲斐国において戦国時代から江戸時代にかけて存続した特異な武士団です。この団体は、戦国時代の激動の中で重要な役割を果たし、後の江戸時代においてもその影響を持ち続けました。

九一色衆の起源

九一色衆の起源は、治承・寿永の乱にまでさかのぼります。このころ、中道往還の古関町には関所が設けられ、交通の要所として重要な役割を果たしました。この地域における武士団の成立は、甲斐国を含む多様な勢力の力関係に大きな影響を与えることになりました。

戦国時代の九一色衆

戦国時代の末期、天正10年（1582年）に織田信長の命により武田氏が滅亡しました。その3か月後に本能寺の変で信長が亡くなったことに起因して、天正壬午の乱が発生しました。これらの出来事を経て、徳川家康が武田の遺領を手に入れ、九一色衆は新たな時代の中での役割を模索していくことになります。

家康は右左口に滞在し、地元の人々に対して所役免除を行ったとされ、またその信仰心から毎年御朱印祭が行われるようになりました。九一色衆は伝馬役を背負いながらも、海産物の輸送に関する制度を享受し、地域経済の発展に寄与しました。

武田氏の滅亡後

武田氏の滅亡を受けて、中道往還の軍用道路としての役割が低下したものの、九一色衆の渡辺囚獄佑は家康からの朱印状を受け、この往還の警護を担当しました。この時期、毎年行われる御朱印祭では、右左口人形とも呼ばれる人形芝居が盛況を博しました。さらに、装飾された人形は駿河地方でも制作されるようになりました。

江戸時代の九一色衆

江戸時代に入ると、中道往還は脇往還に変わり、右左口や精進、上井出などの宿駅が設置されました。また、本栖では口留番所も設けられ、交通の要所として機能を続けました。この時期、富士山麓の気候が鮮魚輸送に適していたことから、清水や沼津で水揚げされた海産物や塩が甲斐国へと輸送されました。

その結果、海に面していない山梨県でも、鮑の煮貝が名物となり、地域特有の食文化が発展しました。九一色衆の活動は、その後の文化や経済においても重要な意義を持ち続けたのです。

結論

九一色衆は、甲斐国における歴史的な武士団として、彼らの活動が地域の発展に深く関与してきたことがわかります。その起源から江戸時代に至るまで、様々な変遷を経て、地域に根ざした文化や経済の形成に寄与した彼らの存在は記憶されるべきです。また、関連する文書である天正壬午起請文も彼らの歴史を知る上で重要な資料と言えるでしょう。

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