九九式破甲爆雷

九九式破甲爆雷

九九式破甲爆雷（きゅうきゅうしきはこうばくらい）は、大日本帝国陸軍が1939年に導入した対戦車兵器であり、日中戦争や第二次世界大戦で活躍しました。この爆雷は、敵戦車に向かって投擲するか、近づいて自身で装甲に貼り付け、爆発させる方式で使用されました。そのデザインは亀の子に似ていることから、一般的に「亀」とも呼ばれていました。

概要

九九式破甲爆雷は、円形の布袋で構成されており、内部には被包された一号淡黄薬が8つに分けられて収められています。周囲にはフェライト磁石の一種であるOP磁石が取り付けられており、これが爆雷の吸着機能を担っています。信管は外部に取り付けられており、撃発装置、導火薬筒、安全栓を含んでいます。導火薬筒に点火すると、約10秒後に爆発します。通常、爆雷は20個ずつ携帯箱に収容され、信管は別に携行し、使用時に装着します。

爆破の効果を高めるために、九九式破甲爆雷を複数重ねて使用することも可能であり、その際は磁石で連結します。この爆雷の装甲破壊能力は、爆風の圧力によって発揮されますが、ノイマン効果は利用されていません。ドイツの成形炸薬を使用した吸着地雷と比較すると、装甲破壊能力は劣りますが、日本の試験においても1個で20mm、2つ重ねて40mmの装甲を破壊することが確認されています。アメリカ軍の資料によれば、単独使用の場合は19mmの装甲板を、2個使用した場合には32mmを破壊できました。

このような吸着型爆破兵器は、日本以外にもドイツの吸着地雷やイギリスのNo.74粘着手榴弾などが存在しますが、1944年以降、ドイツはパンツァーファウストの開発に移行したため、吸着地雷の生産を停止しました。日本陸軍は終戦まで、主力の携帯対戦車兵器として九九式破甲爆雷のような肉薄攻撃手段に依存せざるを得ませんでした。

ノモンハン事件において、日本軍はソ連赤軍のBT戦車に対して地雷や火炎瓶を駆使し戦いました。特徴的な戦車は、航空機用の強力なエンジンを搭載していたが、装甲は薄く、地雷や爆薬により容易に破壊されました。実際に、1939年7月2日から3日にかけてのハルハ河での戦闘では、多くのソ連戦車が日本軍によって撃破され、主に37mm対戦車砲の弾薬によるものでした。

打撃の成功は、敵戦車との相互支援が欠如していたことに起因しています。日本軍の肉薄攻撃の成功を収めたのは、ソ連側が戦車と歩兵の連携を欠いていたためでしたが、戦闘が進むにつれてこの状況は改善され、戦車は歩兵と協力して行動するようになりました。

開発経緯

九九式破甲爆雷の開発は、1935年に始まりました。陸軍内部で、戦車に吸着させて爆破する新しい兵器の必要性が提起されたのです。最初の試作品は、緩燃導火索を使用しましたが、吸着力が不十分でした。その後の試験で吸着力の改善が進められ、最終的にはOP磁石を搭載した改良型が開発されました。

1938年には、特殊信管の使用とともに、構造や機能の試験が実施されました。1939年には厳しい環境下での試験も行われ、実際に戦車の装甲に対して効果を確認しました。最終的に、1940年1月に九九式破甲爆雷は正式に対戦車兵器として制式化されることとなります。

仕様

• - 直径: 128mm
• - 全高: 38mm（37mm記載もあり）
• - 重量: 1,300g
• - 炸薬量: 一号淡黄薬630g（TNTとRDX）
• - 信管長: 13cm
• - 作動時間: 10秒

このように、九九式破甲爆雷は日本軍の対戦車戦術において重要な役割を果たし、当時の兵器の中でも特異な存在でした。

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