九五式戦闘機

九五式戦闘機の詳細

九五式戦闘機（きゅうごしきせんとうき）は、日本陸軍の戦闘機として1935年に制式採用され、主に日中戦争において主力機として活躍しました。試作名称はキ10で、連合軍によってはPerry（ペリー）として知られています。この機体は川崎航空機によって開発され、陸軍の最後の複葉戦闘機となりました。

開発の背景

1934年、川崎航空機は新たな戦闘機の開発を開始しましたが、最初に手掛けたキ5は運動性や安定性に問題があり不採用となりました。そこで陸軍は改めて九二式戦闘機の後継機の設計を、川崎と中島飛行機に指示しました。川崎では土井武夫技師が設計主務者として指名され、新たな機体の開発に着手します。前任機の失敗を繰り返さないため、運動性や安定性を重視した設計が求められました。

試作と制式採用

1935年3月に試作1号機が完成し、同年7月には中島製キ11との比較試験に臨みます。この結果、速度性能は中島機に及ばないものの、運動性や上昇力で優れていることが認められ、陸軍から高い評価を受けることとなりました。結果的に、九五式戦闘機として正式に採用されるのは同年の年末でした。

その後、1938年にかけて全588機が製造され、二型（キ10-II）やその改良型も含まれています。この機体は日中戦争において無類の運動性を活かし、中国国民党軍のソ連製I-15戦闘機を圧倒する活躍を見せました。しかし、ノモンハン事件以降は、I-16のような単葉機に対して劣勢となり、九七式戦闘機と交替する形で第一線を退きました。

改良と試作型

川崎航空機は九五式戦闘機のさらなる改良を行い、1937年には三型（キ10-III）の試作案を完成させました。この機体ではエンジン出力の増大、密閉風防の採用、冷却器の改良などが施され、最高速度445km/hを達成しました。この時期、複葉機から単葉機への移行が進んでいたため、さらなる制式採用はされませんでした。

仕様詳細

九五式戦闘機のスペック（キ10-II）は以下の通りです:

• - 乗員：1名
• - 全長：7.55 m
• - 全幅：10.02 m
• - 全高：3.3 m
• - 主翼面積：23.0 m²
• - 自重：1360 kg
• - 全備重量：1740 kg
• - 動力：川崎九五式800馬力発動機（ハ9-II甲）
• - 出力：850 hp（離昇）
• - 最大速度：400 km/h
• - 航続距離：1100 km
• - 実用上昇限度：11300 m

武装

九五式戦闘機は、7.7mm機関銃（八九式固定機関銃）を2門搭載しており、当時の航空戦において重要な役割を果たしました。

登場作品

この戦闘機は、映画『燃ゆる大空』やオンラインゲーム『War Thunder』などの作品に登場し、その存在が紹介されています。

まとめ

九五式戦闘機は、日本陸軍の複葉式戦闘機として、日中戦争での重要な役割を果たした機体です。設計は慎重に行われ、運動性に優れた性能を持ちつつも、時代の変化によって徐々にその役割は変わっていくこととなりました。日本陸軍の航空機の中でも、特に特徴的な存在として歴史に名を残しています。

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