九五式野砲

九五式野砲の概要

九五式野砲（きゅうごしきやほう）は、1930年代中期に大日本帝国陸軍によって開発され、採用された野砲です。この砲は、特に第二次世界大戦において、改造三八式野砲や機動九〇式野砲と共に帝国陸軍の主力として広く運用されました。

開発背景

従来の九〇式野砲は高性能であったものの、砲車の重量が課題でした。馬による牽引の際、森林や湿地のような厳しい地形を突破することが難しく、この問題が新たな野砲の開発を促しました。牽引車を利用する機械化牽引では、各師団の野砲兵連隊へ割り当てる必要があり、多くの牽引車を整備しなければならないという経済的負担も考慮されました。このため、実戦部隊からは軽量かつ機動的な野砲が求められるようになりました。

そこで、陸軍の参謀本部は新しい長射程かつ軽量の野砲の開発に着手しました。1933年10月7日に行われた陸軍軍需審議会での議題を受け、同年11月に試作開始の命令が出されました。最初の試作砲が完成したのは1934年8月で、設計の初期段階では若干の安定不足が見られましたが、修正を施した結果、1935年には改良されたモデルが完成しました。

特徴

九五式野砲は、弾薬の完全弾薬筒方式を採用しており、三八式野砲や四一式騎砲と共通の弾薬を使用できます。ただし、薬室の仕様上、九〇式野砲やその他の種類の野砲の弾薬とは互換性がない点に留意が必要です。特に、九五式野砲はその価格が比較的安価で、重量も改造三八式野砲よりも軽かったため、運用がしやすいとされています。

さらに、九五式野砲の砲身耐久性は約16,000発とされ、九〇式野砲の約3.5倍の命数を誇ります。このため、維持費が低く抑えられる点も特筆に値します。生産は約320門以上とされ、当時の陸軍が取り入れたドイツ陸軍やアメリカ陸軍の運用方式に従い、火力の向上を目指しました。

運用と影響

1930年代後期には、師団砲兵の戦力向上のための新たな編成計画が立案され、野砲の生産が削減される中で、改造三八式野砲の完全更新には至りませんでした。しかし、九五式野砲はその軽量性と効率的な運用により、戦争において重要な役割を果たしました。

九五式野砲は、帝国陸軍の戦力を支えた重要な存在であり、野砲の技術革新をもたらした一例として、歴史的に意義深い兵器であったと言えます。これにより、戦闘における火力投射の能力が向上し、戦局に多大な影響を与えることとなりました。これが今後の兵器開発に及ぼす影響も考えられ、九五式野砲は単なる武器以上の存在となったのです。

もう一度検索