九八式軽爆撃機

九八式軽爆撃機 (きゅうはちしきけいばくげきき)

九八式軽爆撃機は、大日本帝国陸軍によって採用された軽爆撃機であり、試作コード名はキ32、連合軍のコードネームはMaryです。川崎航空機が開発と製造を行い、陸軍の爆撃機の運用に貢献しました。

開発の始まり

1936年、陸軍が九三式単軽爆撃機の後継機を必要とし、川崎航空機と三菱が共同で開発競争を始めました。川崎は、当時陸軍が採用していたドイツ製のハインケル He 118を参考にし、1937年3月に試作1号機を完成させました。

この機体は中翼配置の単発機で、胴体内に爆弾槽を備え、空気抵抗を軽減するためにスパッツ付きの固定脚を装備していました。エンジンには自社開発のハ9-II乙を使用しましたが、これには信頼性の問題がありました。そのため、陸軍の性能審査では三菱の機体と比較され、最終的には両機ともに性能に優れているとされましたが、エンジンの信頼性が低かったため、三菱機が採用されました。

生産と運用

しかし、日中戦争の開始により、二機目の九七式軽爆撃機の生産が追いつかないと判断されたため、1937年8月に川崎に増産が命じられました。この結果、1938年8月には九八式軽爆撃機が公式に採用されました。
川崎はすぐに生産体制を整え、全盛期には月に50機を製造しました。

性能と問題点

九八式軽爆撃機はその性能において高く評価されましたが、エンジン関連のトラブルが頻発しました。特に大型ラジエーターからの水漏れなどが原因で、十分な稼働率が確保できず、整備の負担が大きくなりました。このため、前線での評判は芳しくなく、訓練部隊や司令部飛行科に回されることもありました。しかし、それでも支那事変や大東亜戦争初期のシンガポール戦、香港攻略戦では重要な役割を果たしました。

生産 totals

生産は1940年5月まで続き、最終的には854機が製造され、採用された九七式軽爆撃機を上回る生産数となりました。これにより、九八式軽爆撃機は当時の日本軍において重要な軽爆撃機としての地位を確立しました。

諸元概要

• - 全長: 11.64 m
• - 全幅: 15.00 m
• - 全高: 2.90 m
• - 自重: 2,349 kg
• - 全備重量: 3,762 kg
• - エンジン: 川崎九八式800馬力ハ9-II乙
• - 出力: 850 hp
• - 最大速度: 423 km/h
• - 航続距離: 1,220 km
• - 実用上昇限度: 8,900 m
• - 乗員: 2名
• - 武装: 7.7 mm機関銃×2、最大450 kgの爆弾

関連項目

• - 爆撃機一覧
• - 八八式軽爆撃機
• - 九三式単軽爆撃機

この機体は、二次大戦の激動の中にあってもその存在感を示し続け、陸軍航空部隊における重要な一員として活躍しました。

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