九七式軽爆撃機

九七式軽爆撃機について

九七式軽爆撃機（きゅうななしきけいばくげきき）は、大日本帝国陸軍において使用されていた軽 bombers です。その愛称は九七式軽爆や九七軽爆など多様であり、試作名称はキ30、連合軍によるコードネームは Ann（アン）です。後に「九七式単軽爆撃機」とも呼ばれるようになりました。この機体は、三菱重工業が開発・製造を手掛けました。

開発の背景

1936年に、九三式双発軽爆撃機（キ2）の後継機の開発が指示され、三菱重工業がそのプロジェクトに参加しました。この後継機の開発は、三菱と川崎航空機との競作が行われましたが、最終的に三菱の機体が選ばれました。これは九七式司令部偵察機（キ15）の基本設計を活用する形での設計が行われたため、比較的安定した性能を持つ機体に仕上がったと言えます。

試作1号機は1937年2月に完成し、その後増加試作機が16機製造されました。1938年6月には陸軍の単発単葉軽爆撃機として制式採用され、正式に「九七式軽爆撃機」に改称されました。しかし、この機体は仮制式採用の段階から中国大陸に展開する部隊に配備されており、実戦にもすぐに参加しました。

性能と特徴

九七式軽爆撃機は、稼働率が非常に高く、実用的な性能から使用部隊の評価も良好でした。また、この機体は急降下爆撃が可能であり、支那事変（いわゆる日中戦争）の中期以降には主力軽爆撃機として各地でその姿を見せました。ただし、急降下爆撃時にダイブブレーキを持たないという点が特徴として挙げられます。

しかしながら、機体の構造上、胴体内に爆弾倉を備えていたことから、乗員間の通信が難しいという欠点もありました。この問題は、後の九九式襲撃機（キ51）の開発過程で考慮されることとなります。さらに、軽爆撃機としてはやや運動性が鈍いことも指摘されています。1941年頃までは第一線機として配備されるものの、その後旧式化が進み、前線からは急速に引き上げられました。

戦局が進むにつれ、九７式軽爆撃機の中には特攻機として使用される例も見受けられました。

生産と配備

九七式軽爆撃機の生産は1940年まで続き、三菱で636機、陸軍航空工廠でも約50機が製造されました。また、1939年には当時の同盟国であるタイに対して24機が供与され、現地では M103「ナゴヤ」と称されました。この「ナゴヤ」という名称は、当時の生産工場が名古屋市に所在していたことに由来しています。

諸元と性能データ

• - 全長: 10.34 m
• - 全幅: 14.55 m
• - 全高: 3.66 m
• - 主翼面積: 30.58 m²
• - 自重: 2,230 kg
• - 全備重量: 3,322 kg
• - エンジン: 中島ハ5 空冷星型14気筒エンジン850HP×1
• - 最大速度: 423 km/h
• - 航続距離: 1,700 km
• - 実用上昇限度: 8,600 m
• - 乗員: 2名
• - 武装: 7.7mm機関銃×2、最大450kgの爆弾

このように、九七式軽爆撃機は日本軍の空中作戦において重要な役割を果たしました。その性能と扱いやすさから、多くの部隊に愛用されましたが、運用上の課題も少なからず存在していました。

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