九六式十五糎榴弾砲

九六式十五糎榴弾砲の概要

九六式十五糎榴弾砲は、1930年代中期に開発された大日本帝国陸軍の榴弾砲で、主に日中戦争やノモンハン事件、そして太平洋戦争において活躍しました。この砲は、野戦重砲として軍司令部直轄の部隊に配備され、戦局において重要な役割を果たしました。

開発の背景

九六式の開発は1920年代にさかのぼります。当時の戦訓を反映し、欧州戦の経験やシベリア出兵の結果を踏まえて新しい榴弾砲の仕様が定められました。要求された性能としては、約12,000メートルの最大射程と広範囲にわたる射撃角度があり、運動性にも配慮されました。1934年に設計が始まり、1937年には仮制式が制定されました。

実戦での使用

武器としての本砲は、その完成を待たずして盧溝橋事件の際に実戦に投入されました。1937年10月の国民革命軍攻撃において、九六式榴弾砲は城壁を破壊し、突撃路を開くなど、その有効性を証明しました。1938年には制式制定され、その後、量産が始まります。この時期、九六式は日中戦争において重要な役割を果たし、特に武漢作戦では顕著な戦果を上げました。

ノモンハン事件では、本砲が直接戦闘にも参加し、敵戦車に対する効果的な射撃を行いました。特に、装甲の薄いソ連軍戦車に対しては圧倒的な威力を発揮し、特筆すべき勇猛さで戦った隊員もいました。

太平洋戦争における活動

太平洋戦争中のフィリピン作戦では、九六式榴弾砲が24門投入され、アメリカ軍の要塞に対して連日にわたり猛烈な砲撃を実施しました。この戦闘においても、砲撃戦での連携と戦術が功を奏し、重要な結果を得ることができました。

サイパン戦では、既に豊富な戦経験を持つ部隊が本砲を使用し、敵の上陸部隊に対して絶大な効果を発揮しました。沖縄戦でもその活躍は続き、最後まで戦い抜きました。

装甲貫徹力と現存砲

装甲貫徹力については、旧陸軍省の情報資料によれば使用する弾薬によりさまざまな性能を示しました。現在、九六式榴弾砲の主な現存砲は靖国神社に展示されており、沖縄戦を戦った部隊のものとして、歴史的な価値を持っています。また他にもいくつかの現存砲が国内外で保存・展示されています。

まとめ

九六式十五糎榴弾砲は、日本陸軍の重榴弾砲として、数多くの戦闘において主力火器として使用されました。その設計は当時の技術を反映したものであり、実戦においてその性能を十分に示しました。戦後においても、九六式の存在は日本の軍事史における重要な遺産として残されています。

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