九四式七糎戦車砲

九四式七糎戦車砲について

九四式七糎戦車砲（94しき7せんちせんしゃほう）は、大日本帝国陸軍によって開発された口径70mmを誇る戦車砲です。この砲は、特に重戦車に搭載することを目的として設計され、実際には九五式重戦車に装備されました。1932年に陸軍技術本部が開発に着手し、その後の一連の試験を経て、1935年に仮制式が上申されました。

開発の過程

本砲の設計は1933年の4月から始まりました。試作砲が同年の12月に完成した後、1934年には弾道試験と機能試験が行われ、結果が良好であると認められました。特に1934年の9月には、試製重戦車に搭載された状態での試験も行われ、所期の性能を満たすものであったことが確認されました。11月から翌年の2月には、満州において実際の運用試験も実施され、その結果も良好でした。このように、砲の性能が確保されたことにより、1935年に仮制式が認められ、正式に戦車装備火砲としての地位を獲得したのです。

構造と機能

九四式七糎戦車砲は、様々な高度な技術が駆使された構造を持っています。砲身は単肉自緊型で、傾斜6度の施条が施されています。閉鎖機は自動開閉式で、撃発機構は引き落とし式とされています。駐退復座機は水圧式にばねを組み合わせた一体型であり、砲架内に収容される設計となっています。

砲の全体設計では、上部に砲身滑走孔、下部に駐退復座機室を持つ揺架があり、砲架には防盾が取り付けられています。さらに、照準機構も高低照準機と方向照準機から成り、高度な精度を実現しています。総じて、砲身の重量は105.5キログラムであり、射撃姿勢時の重量は325キログラムとなっています。

砲弾の仕様

九四式七糎戦車砲で使用される砲弾は、主に榴弾、代用弾、徹甲弾の3種類です。特に九二式榴弾は、人馬の殺傷や野戦築城の破壊に適しており、炸薬量は0.63キログラムで、射程距離は2,500メートルに及びます。また、代用弾は演習時の榴弾代わりとして使われ、その特性は九二式榴弾と同様です。

徹甲弾は装甲貫徹用として設計されており、炸薬量は0.17キログラムで、貫徹能力が高いのが特徴です。装甲貫徹後には炸裂することで、敵車両内部の機器に対して大きな打撃を与えることが可能です。

まとめ

九四式七糎戦車砲は、その優れた設計と性能により、大日本帝国陸軍の重戦車運用において重要な役割を果たしました。その後の開発と実用試験を経て、正式に制式化された本砲は、戦車戦における火力の向上に寄与しました。これにより、九四式は当時の戦車砲の中でも国家戦力としての意義を持つ存在となったのです。

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