九四式偵察機

九四式偵察機（キ4）の概要

九四式偵察機は、太平洋戦争前に日本陸軍に採用された偵察機として知られています。この機体は中島飛行機によって設計および製造され、1933年に発表された新型偵察機の試作指示を受けて開発が進められました。旧型の九二式偵察機の性能が期待に応えられなかったため、陸軍はより高性能な機体を求めることとなりました。

1934年3月に初めての試作機が完成し、その後の試験を経て小幅な改修が施され、同年7月に正式に九四式偵察機として制式採用されました。本機は、独特な構造を持つ主翼と全金属製の胴体を特徴としており、その設計は運動性能と稼働率に優れたものとなっています。このため、九四式偵察機は近距離の偵察だけでなく、地上部隊の支援や連絡任務など多様な場面で活躍しました。

特に後期モデルの乙型には爆弾架が装備されていたことから、軽爆撃機としての利用も頻繁に行われ、戦局においては「直接協同偵察機」の先駆けとも言える存在となりました。

従軍歴と運用

この機体は支那事変時の主力機の一つとされていましたが、後継機として九八式直接協同偵察機が登場すると、前線から撤退を余儀なくされました。それでも、太平洋戦争においては訓練や連絡業務のために雑用機として稼働していた場合もあり、戦争全体を通じて重要な役割を果たしました。

生産については、初期型の甲型は中島で製造されたのに対し、乙型は立川飛行機と満洲飛行機で生産されました。最終的に生産された機体の総数は383機に達しました。

機体スペック

• - 全長: 7.73 m
• - 全幅: 12.00 m
• - 全高: 3.50 m
• - 主翼面積: 29.70 m²
• - 自重: 1,615 kg
• - 全備重量: 2,616 kg
• - エンジン: ハ8-I 空冷星型9気筒エンジン（550HP）
• - 最大速度: 300 km/h
• - 航続距離: 1,200 km
• - 武装: 7.7mm機関銃×3~4、爆弾50kg
• - 乗員: 2名

結論

九四式偵察機（キ4）は、日本陸軍の偵察任務において多様な用途で利用された歴史的な機体です。その高性能と信頼性から、多くの場面で重宝され、レガシーを残しました。

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