九字

九字（くじ）について

九字とは、中国の道教の教義において呪力を持つとされる9つの漢字のことです。その起源は西晋と東晋の葛洪によって著された『抱朴子』に登場します。この書物の内篇巻17「登渉篇」では、山に入る際に唱えるべき呪文として「臨兵鬥者 皆陣列前行」が紹介され、以降、古代中国の道教徒たちによって広まったとされています。日本でもこの概念は受け入れられ、特に修験道や陰陽道といった宗教的実践の中で護身のための呪文として用いられるようになりました。

九字の唱え方と信仰

九字の呪文を唱えながら、手印を結んだり、指を剣のように使って空に線を描くことで、様々な災いから身を守ると信じられてきました。しかし、『抱朴子』にはこれらの所作は明記されていないため、それらは後の時代に追加されたと考えられています（九字護身法として知られる）。これらの呪文は、特定の効果に特化させるために、その後に漢字の一文字を追加する「十字」と呼ばれる方法も存在します。

主な九字の種類

九字には様々なバリエーションがありますが、その一部を以下に示します。

• - 臨兵闘者 皆陣列前行：最も基本的かつ強力な九字で、意味は「臨む兵よ、闘う者よ、皆　陣列べて前を行け」です。
• - 令百由旬内 無諸衰患：古代インドの単位である由旬を使い、「百由旬の内に諸の衰患無からしむ」の意味を持つ呪文です。
• - 阿耨多羅 三藐三菩提：大乗仏教に由来する句であり、九字としての扱いには異論もあります。

九字を取り上げた作品

九字は日本の文化にも多く影響を与えており、映画やマンガ、アニメ、ゲームなどさまざまなメディア作品に登場します。例えば、1981年に公開された映画『魔界転生』や、1999年の『梟の城』、さらにアニメ『美少女戦士セーラームーン』や『NARUTO』などで、その存在感を示しています。

まとめ

九字は古代中国から発展し、特に日本の陰陽道や修験道において、護身の手段として重要視されています。これらの呪文は単なる言葉ではなく、信仰や文化の一部として広く認識され、さまざまな形で私たちの生活に影響を与えています。九字が持つ神秘的な力は、今でも信じられ、多くの人々によって受け継がれています。

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